ボクシング、パート2

 やくみつるが、亀田の何時もの格好で出てきて無礼な態度を示す。

亀田の父親が、激怒した。(それを、息子はやっているのに…。)

 

父親の論理。

「興穀は、まだ19歳の子どもなんや。」(だったら、躾をせよ。敬意を教える必要あり)

「興穀は、プロなんや。」(だったら、自分の行動に責任を持て。

プロだったら何をしても許されるわけではない。傍若無人な態度で無礼は、許されない。)

「ファンやったら応援してくれ。」(応援はするが、身びいきは、しない)

「もう終わったことを言っても仕方ないやんけ。」

「終わったことをほじくり返されるのは誰でも嫌やろ。」

(誰でもでは、ない。あなたは、嫌なのだ。あなたが、嫌なだけだ。

やましいことがある人間は、必ずといってよいほどこう言う。

そして、納得のいかないことは、納得がいくまで考え話し合うべきである。

何故なら、それは考える為に起きたことだからだ。

そして、決着を、けじめを付けなければならない。そうでなければ、明日が来ない。)

「興穀は、頑張ったんや。応援してもええやろ。認めて誉めてやってもええやろ。」

(頑張ったことは知っている。しかし、そこにある事実は別だ。

頑張ったんだからこれ位許してくれてもいいだろうは、許されない。)

父親は、自分は素人だと言いながら、人の意見は聞かない。

「興穀を見守り育ててきたのは、自分だ」と言い「一緒に戦いたいんや、戦っているんや」

(戦っているのは、興穀であって、父親のあなたではないということに気がつかなければ

ならない。あなたは、あなたであって息子ではない。

あなたは、あなたの戦いをすべきだと思う)

 

そして、何事も熱くならなければ面白くないと私は思う。

しかし、熱くなるるということは、反面冷静になるということでもある。決してムキにな

って我を忘れるということではない。

彼らのヤクザのような喧嘩腰からは、神聖なリングへの敬意が感じられなかった。

父親の子どもへの熱い思いは分かるが、冷静さに欠け、事実が見えなくなっているのでは

ないだろうか。いや見ないようにしているのではないだろうか。

ジャジが、そう出たといことで事実を見ないようにしている。

それが彼にとっては、息子への愛なのだ。

あの試合が、興穀の勝ちだというのなら、彼はボクシングを知らない人だ。

逆の立場だったら、息子を守る為にどれだけ騒ぐことだろうか。

 

BSに6万件の抗議の電話やメールが殺到したという。

その90%以上が、亀田の負けを認めている。

ベネズエラの大使館には、「申し訳ないことをした。日本は負けている。」

「これで、日本を軽蔑しないでくれ。」「日本を嫌いにならないでくれ」というメールや

ファックスが多数届いたいという。

それを聞いて、日本人が公平で公正な人が多いことが分かり嬉しくなった。

 

尾崎が、ゴルフの試合で誰だったけか、確かクレック・ノーマンだったと思うが、

言った言葉がある。

その頃の尾崎は、パワーがみなぎっていたが、こらえ性がなくクラブを投げ捨てたりす

るなどの行動が目立っていた。

熱くなった彼には、冷静さと謙虚さが欠けていた。

スイングをするのに、使うクラブを変えてそれを後ろに投げた。

ライン上に何かを置くのは、ルール違反である。

それを見たノーマンが、申告し、尾崎に言った。

「私は、あなたの友人であり尊敬しているが、あなたのした行為は、ルール違反であり

認めることは出来ない」と。

 

「私を好きだったら、許してくれてもいいじゃない!」

「面倒みてやったんだから、目を瞑ってくれよ」の思考回路、論理は、物事を間違った

方向に導く。

物事を混同してしか考えられない人に、戦争反対と言うと、そんなこと言ったら戦争に

行った人を否定して侮辱することになると怒る。

それと同じ論理で、興穀の父はジャジに異議を唱えると、興穀が否定されていると思っ

てしまうらしい。

興穀を否定しているのでなく、今回のジャジに、ボクシング界の仕組に異を唱えている

のだということに気が付いたら、彼も楽になれるだろうに、可哀想な気がする。

 

あなたは愛している。でもあなたが今、していることには、賛成出来ない。

それが、本当の愛情であると私は思う。

 

亀田は、好きでも嫌いでもないが、亀田のここまでの頑張りには敬意を感じている。

しかし、無礼な態度言動には、賛成出来ない。

私は、ボクシングが好きで亀田個人が好きな訳ではない。

(あー、亀田もガッツ石松や原田みたいに好きになれたらもっと面白いのになあ。)

プロだろうがアマだろうが、スポーツに対しての礼儀を弁えない、心が育っていない者は

勝ち負け、技術以前の問題だ。

今回の試合内容は面白かったが、日本の権力主義が露呈したのだと思う。

言い訳や、辻褄合わせをしなくていいような、公明正大で公平、公正なボクシングをして

いくことが、今後のボクシングの課題であり、結果としての人気に繋がると私は思う。

 

それにしても、日本人が、エコヒイキが嫌いだということが分かっただけでも、今回は

収穫だった気がする。