ガイコツの標本

 

孫の栞(しおり・小3)に、ゲゲゲのきたろうの昔の歌を歌って聞かせた。

「♪げ、げ、げげげのげ〜、朝は寝床でグーグーグゥ、お化けの世界にゃなぁ、試験も何

にもない、、夜は墓場で運動会、嬉しいな、楽しいな、げ、げ、げげげのげ〜、みんなで

歌おうげげげのげ♪

な、栞よ、いい歌だと思わない?」

「うん、この間ゲゲゲのきたろうテレビで観たよ、そしたら〜でぇ」と恒例栞のテレビの

内容を説明する長〜い話が始まる。これは、バアバの血か。

 話がひと段落したところで、

「そうかぁ、でも、栞小さい頃バアバがこの歌、歌うと恐いからやめてって怒ったんだよ

覚えてる?」と聞く。

「うん、覚えてる」

栞は、栞をおんぶしての、バアバが大好きな夜の散歩を嫌がったが、いろいろなものを

恐がってきている。(私も恐がる内容は違うものの同じ恐がりだ)

栞は、保育園のお泊まり保育の時はキモダメシが恐いから嫌だとゴネた。

その時は“洞窟の泣き声の話”をしたっけ。

山の洞窟に聞こえるというそのすすり泣く声は、戦争で集団疎開して、いじめられて

洞窟に逃げこみ、そこで亡くなった子の声だという。

遠く離れた親を思い、暑さ寒さに苦しみ、餓えて死んだその子の声、それは本当に

恐いものなのだろうかと話をしたことを思い出した。

一週間程した頃、栞は「キモダメシは恐くないんだよ」と母親に言ってお泊まり保育に

参加した。

 

最近は、もうすぐ2歳になる弟の翔が夢に出てきて何だかを食べてゲロを吐いてゾンビ

になってチョー恐くて翔の傍に行きたくないんだ。と栞は言う。

「ふーん、じゃ、ガイコツなんかも恐いんじゃない?」と言うと、

「もー、むりむり」と栞はスッパイような顔を作り、胸の前で両手をワイパーのように

振って見せた。

「じゃ、ガイコツのこんな話知ってる?」

「なに?」と恐いの嫌いと言いながら、興味深々の栞。

「ある小学校に本物のガイコツがあるんだって」

「なにそれ!?」

「それがぁ、どうしてあるか、っていうとね」

「うんうん」

「そこの学校に居た先生が、子供が大好きで、大好きで、ずっと先生をしていて、

校長先生になって、年を取って死んだんだけど、ずっと子供のソバに居たいって

子供の役に立ちたい。って思っていて、それで考えて『自分が死んだら骨の標本にして

学校に置いて下さい』ってお願いして亡くなったんだって」

「ふーん」

「その願いが聞き届けられて、先生は骨となって、今も学校で子供たちの側に居るん

だってよ」

「ふーん」

「自分の骨で人の身体のこと教えてるんだね。

バアバも本物の骨とその仕組み見てみたいなぁ、

そこの生徒でお医者さんや科学者になった人も居るんだろうね。

ちなみに、そこでガイコツ恐がる子は居ないって聞いたな」

「ふーん」

 話はそこで終わりにした。これが大事なんだな。

答えは、その本人の中でゆっくり腑に落ちていく、時を経て芽を出すのは自然(じねん)

法爾(ほうに)

 

 

 <蛇足>

 一休宗純という人は、正月になると棒の先にシャレコウベを付けて練り歩いたという。

「正月は、冥土へ向かう一里塚、めでたくもありめでたくもなし」と歌いながら。

 

 美人、不美人、騒ぐでないよ、一皮むけばみんなガイコツ。

 

 自縄自縛(じじょうじばく)

自分の言動が自分を縛って自由に振舞えない、苦しい立場になることを自縄自爆に陥る。

という。らしい。

(自らの縄)執着、思い込み、決めつけが、(自らを縛る)

 

 無縄自縛(むじょうじばく)

(ありもしない縄)で(自らを縛る)

これではいけない、普通はこうなんだ、常識ではこうだ、こうあらねばならない、という

常識、固定観念、古い常識、情報など(ありもしない縄)によって勝手に諦めてしまう。

ことをいう。らしい。

 

また、〜はアリガタイと思いこんだ瞬間、それに縛られるという。

〜、には、宗教がらみのことが多く、お経とか寺院、教会、聖書、みたいな大事にしな

いといけない。と思いこんでいるモノに当てはまる。

拘り(コダワリ)は、知識と経験が増える程強くなり、それに執着した瞬間、世界を、

視野を狭くする。という。

 

ソクラテスは、無知の知を大切にしたが、

ソクラテスのパラドクスは、知れば知るほど、真理から遠ざかる。という。

 

   チョー、おもしれぇー。