愉快な仲間ハト

 

 我が家の北から西にかけて田んぼが広がっている。

そこにやって来る生きものたちが、この近辺で出会う生きものたちが、チョー面白い。

今朝は、横なぐりの雨風の中、刈り取られた田んぼに13羽のハトと2羽のカラスが

祈りを捧げるかの様に、静かに何かを啄(ついば)んでいた。

 

<ハト>

そのハトは、山小屋の上のメダカの水を飲んだり、水浴びしたりして、私がメダカを

覗き観察しているとすぐ横の塀にとまって、小首を傾げて私を観察していることがあった。

 ゆっくりとハトの方を振り返って見ても逃げない。

「デデポッポー」と太い声で鳴いてみせても逃げず、私はメダカに意識を戻した。

 

20012年に新しい仕事場が出来た。

それを期に、山小屋の上で飼っていたメダカを新しい広場(メダカ広場)に移した。

山小屋のメダカ広場は二階で塀に囲まれているので、私以外の人に覗かれる心配はなか

ったのだが、新しい場所は塀に遮られているものの道路のすぐ横だ。

 しかし、間もなく、ハトはそこへやって来た。ちなみにハトは夫婦らしい。

メダカ広場には、メダカの様々な容器が30以上置かれ何本かの木が立っている。

ハトは、その木にとまったり塀にとまったりしていて、その翌年、子を孵(かえ)した。

塀のすぐ横にある椿の木の下に、ビックリしたような目をした2羽の雛が居た。

正にハトが豆鉄砲を食らったような顔だ。

皆にそこの近くには行かないようにと言い渡した。

でも、残念なことに一羽の雛の羽が逆立ってぶくんでいると思ったら、死骸が見つか

り、土に返した。

今年もそのハトが子を孵し、大分大きくなってもうそろそろ飛べるんじゃないか。と

いう感じの子2羽が肩を寄せ合って、以前と同じ場所に居るのを夏休みで毎日来ていた

孫娘と見つけた。

二人で、口を押さえて「きゃー」と声に出さずに喜びあい

「これは誰にも言わないで、コッソリ守ろう」ということになった。

 夏の日差しの強さの下で日陰は黒い、そこに佇む丸い目の鼠色。

あんたなんか見てませんよ。という気持ちで遠くからチラッと見る。

といっても、5メートルも離れていない。

親ハトも時々姿を見せる。

大きなモミの木に、去年から大きな毛虫が大発生した。

去年、炭挟みで取っては、ブシュっと殺した。

一回に百匹ずつ殺すのを目標にして、一カ月は続けたのだから、何百匹?いや何千匹

殺したんだろう?

あれだけ殺したんだから、もう今年は出ないだろうと思っていたが、何と!今年も

大発生した。

 嫌気がさした私は、息子にモミの木の剪定を頼んだ。

へそ曲がりのヤツは、「痒くなるから嫌ですよ」と言ったが、さっそくモミの枝を切り始

めた。

ヤツは私と違って、バケツに水を入れ取った毛虫を入れた。その数は去年と変わらない。

毎日バケツの水が見えない位に取れ、大きさもドンドン大きくなりカサが増す。

木の剪定も下の方だけ、とヤツは言っていたのが、毛虫が上へ移動するからと上の方

まで剪定することとなった。

 実は、そこはハトの夫婦の隠れ家だった。

針葉樹の尖った葉の間に居た二羽は、そこから100メートル程離れた所の木に移った。

しかし、ハトの子はメダカ広場の横、椿の木の下に隠れていて大きくなっていった。

そこに目をやると、「しー、ばあば、ヒ、ミ、ツ」と孫は人差し指を立てた。

孫の新学期が始まって、そこに気を送らないように気を付けていたら、ついハトの子

のことを忘れていた。

2、3日前、そこを覗いてみたらポッカリ穴だけがあった。

 

 PS

 孫の家で蚊が出ると、ママが「コロセー」と怒鳴る。

9歳4歳2歳3カ月の子供達は、虫さされに弱く赤く腫れる。

 その子供らは、3カ月を除いて「コロセー、コロセー」と言いながら蚊を追い掛ける。

蚊を討ち取ると「ママ、コロしたよ」と得意そうにママに見せる。

「これは教育上どうなんだろう?」と、ママは言うが、

あのぉー、残念でした。パパもバアバも、毛虫、殺しまくってますからぁ。