フラミンゴ

 

そこは 夜明けの時ように 白々と

黄昏時のように しみじみと

白夜が続く 終わりのない時を待つ

待ちながら 時が止まる

 

天を映す 張りつめた水に 月も星も太陽もない

淡く漂うクリームとサーモンピンクに 時は止まっている

 

静寂の中に 立つフラミンゴ

彼らは 蛇のような紅い一本足で立つ

果てしなく続く湖に 点となるフラミンゴ

 

そこは劇薬 水の中に棲むものはいない

フラミンゴの足も 長く浸けていれば溶ける

しかし

水に浸けねば腐るさだめ

水に 生かされながら 殺されながら 立ち続けるフラミンゴ

 

バサバサと新しいフラミンゴが たどり着いた

湖に降り立つと 元の静寂があたりを包む

母の腹にのみこまれ 包み込まれていくように

 

止まった時の中で

フラミンゴが 時々足を替える

 

終わりのない時の中で静かに替え続ける