犬自慢

 

 去年、ネコが死んだ。

今日は、雪が降った。

 死んだネコがウロウロしていた所に、黄色いネコが居た。

雪のチラつく中を、3ヶ月位と思われる子ネコが、ひょこひょこと姿を見せた。

 呼んだら姿を消した。

犬の餌を置いてみた。

 今見たら、半分に減っていた。

 

 そしたら、不意に知人と犬の自慢をしたことを、思い出した。

1999年に死んだ“エル”という名の犬が元気だった頃だから、大分前の話だ。

 

 そいつは“ティナ”という名前のシーズを飼っていた。

私の犬は、ダックスフンドでブラックタンのスムース(短毛)だった。

 ヤツのシーズは、フンショクのクセがあった。

フンショクって何だか分かる?

粉飾決算のフンショクじゃないよ。糞食、つまりウンコを食べてしまう。

どうして食べるんだか、でも、食べてはいけないってことは知っているらしくて

家族が居ない時や見ていない時を見計らって、コソコソ食べた。

 ティナがウンコはしたら、すぐに片付けるようにと、みんなで気を付けていたのだが、

家族が出掛ける様子だとティナはウンコをしないで我慢していた。

 そして、みんなが出掛けて家に誰も居なくなったら、ウンコをして、食していたのだ。

最初は気が付かないでいたが、そのうち家族は、何やらオカシイと気が付いた。

そこで、出掛けた振りをしてティナにバイバイをして、鍵を掛けて外に出た。

足音もさせて出掛けたと思わせ、

そして、そーと玄関を開けて部屋に戻り、ドアを開けた。

「エッ」と振り返ったティナの口には、…。

 

 そいつが、ティナの自慢を始めた。

「彼女(?)は淋しがりやで、一人(?)で居るのが淋しいって言う(?)からテレビを

つけといてあげるの。そうするとテレビを見て吠えたりして一人で居られるのよ」

「へー、ウチのエルはテレビがニセモノだって分かっているから、見ても吠えないし

見ようともしないよ」

「テレビ見るだけのIQが、ないんじゃない?」

「いや、エルは『牛乳飲みたい?』って聞くと冷蔵庫に行くんだから」

「ウチのティナだってテーブルの上のお菓子食べちゃったら、その袋を隠して証拠隠滅

するくらい頭いいんだから」

「ウチだって、テーブルの上にあったカツどんの具だけキレイに食べて、ご飯はゼンゼン

汚してなくて、家族で喧嘩になったんだから」

「ウチだって固めるテンプル一鍋食べちゃって、苦しくてウーウー言ってるからお腹

さすったらもどして、それを片付けようとしたら唸ったんだから」

「ウチなんか、沢庵食べて水が欲しくて風呂場に行って水飲んで、泡のゲロ吐いたのよ」

「どんだけ卑しいのかって話だよね。でも、ウチのエルの方が上だね。

道路にあった動物の死骸を引っ張ってたことがあったんだから」

「いーえ、ウチのティナには敵わないわね。ウンコ食べるんだから」

「あー」

 って、どんだけ、自分ちの犬を自慢したいんだーって話。

何だか、思い出した。