勘違い

 マサミッチという友人が居る。

こいつが面白いやつで、元気印の人間です。

 最近、自己嫌悪の塊だった私が、元気になるキッカケになったのは、このマサミッチへ

の私の勘違いだったと思うんですね。

 

 この間、マサミッチの紹介で或る所に行ったんですよ。

私の希望を聞いたマサミッチが車を出して、そこに連れて行ってくれることになって、

行く途中でちょっとした手土産を買ったんですけど、財布を持たずに出かけた私は

マサミッチに立て替えてもらったんです。

マサミッチは、土産代を半分出すと言ったが、私の為に行ってもらうのだから、それは

いいと断っていた時、偶然会った知人が私に話しかけてきました。

 目的地に着いて、そこの人に手土産を渡した時、マサミッチは、「少しですけど」と

横から言った。

それを聞いて私は、(はぁー?)と思った。

私的に、そこの収穫はあまりなかった。

帰宅してから、塚石にその話をした。

 

 知人に、出産のお祝いをその友人と二人で買って持って行ったが、友人が「これお祝い」

と手渡し、そのまま赤ちゃんの方に関心が移り、その人だけお返しがなかったという話を

聞いた。

 そういう時は「二人からです」と言うべきだろうと思う。

そして、人の持ってきた物を自分が持ってきたように言うのは反則だと思う。

 

私は明確でないことが嫌いだ。筋の通らないことが嫌いだ。

自分の物と人の物の区別がつかないことが、嫌いだ。

 マサミッチと私は、何でも言い合える間柄だと思っている。

お互いに言いたい放題でありながら、相手の領域を侵犯しない付き合いが出来ていると

思っている。

マサミッチは信頼出来る人だと思っているし、何のワダカマリもない人だ。

 よーし、この疑問は明日晴らそうと思った。

 

 翌日、立て替えてもらっていたお金を払おうとすると、レシートを出したマサミッチが

計算をしている。

「どうしたの?」と問うと、手土産代の半分の金額を言った。

「それは、私が全部出すって言ったでしょうよ」と私が言うと、

「えー、あの時私も半分出すって言ったでしょうよ」とマサミッチは言った。

「いや、私の用事で行くんだから、私が買っていくって言ったでしょうが」と二人が

言い合う様子を、塚石が横で見ていた。

「あー、そういうことだったのかぁ。

私は、マサミッチが人の持ってきた物を、少しですがなんて言ってどうしたのかと思って

いたんだよ。

それで、ツカちゃんに悪口言っちゃたもんね」

「あー、それであの時、麻子さん変な顔したのね」

「分かった?」

「分かるわよ」

「麻子さんって、すぐに顔に出るもんね」と塚石。

「ドッヒャー、あたし、マサミッチって人の手柄横取りするような人だったのかと

一瞬だけど思っちゃったよ」

「いやだわ、あたしそんなことしませんよーだ」

「ゴメンね、一瞬でもって、丸一日誤解しちゃって」

「分かればいいわよ」とアッサリ、マサミッチが言った。

それを聞いていた塚石は、

「あー、あたしだったらヘソが曲がっちゃうかも、

もう曲がって曲がって横から後ろにいってどうしようもなくなっちゃう」と言った。

 そして、後で「マサミッチってスゴイ人だね」と言った。

あー、私は、勘違いと早とちりの自分に降参です。

 

 マサミッチの凄さは、こんなものではありません。

メゲルということがありません。

怖いもの知らずというか、垣根を作りません。

肩書きやその人の事情によって分け隔てをしません。のか、出来ないのか。

 そういった意味でちょっと危険なところもあるかもしれませんが、何事に置いても真直

ぐのようでいて世慣れてもいて、親身のようでいて、客観的で冷静でもあります。

 でも、熱いやつで元気なことはこの上ないですね。

 

 最近、マサミッチはある団体の団長になり、その補佐をある人に頼もうとした。

その人は、マサミッチにある誤解をしていて

「私はあなたが嫌いです。あなたと組む気はありません」と断った。

その後、誤解があったことを知ったそこの信頼されている古参が、その人に説明をして

誤解は解けた。

 それを知ったマサミッチは、再度、補佐をしてもらいたいと電話した。

答えは、「私はあなたの下で働く気はありません」とのことだった。

「別に団長だろうが補佐だろうが、上も下もないのにねぇ」と言う彼女は、本当に肩書き

や地位によって態度が変わることがない。

 

 その話を聞いて、私は驚いた。

ナニに一番驚いたか、断った人の強さも凄いが、断られてもめげないマサミッチにだ。

 私だったら、最初っからそういう団体に顔を出すことはあり得ないが、若し、そういう

ことを言われたら気持ちが落ち込んでどん底に行って、しばらく這い上がれないと思う。

 それのことをマサミッチに言うと、

「仕方ないじゃーん、10人、人が居たら全員に好かれることはないのよ。

相性のいい人だけじゃないのが、世の中よ」と言った。

「そういうマサミッチ、大好き」と私が言うと、

「ネッ、こうやって好きって言ってくれる人も居るんだし、こういう時はくれるって

言っていいんだよね」と、何時もくれるあげたの使い方に文句をつける私に言った。

 

 マサミッチは危いところがあると言う人も居る。

しかし、それはどういう人に対しても歯に衣着せぬ(思ったことをはっきり言う)から

であって、本当に言ってはいけないこと(秘密を話すとか、やっつけたり陥(おとしい)

れたり、ウソ)を言うことはない。

 もって回った話し方をしながら、人を貶(おとし)めたり、やっつけようとする人は

多い。

ある人は、「みんなが言っていたわよ」という根も葉もない話で仕事を辞めた。

 マサミッチなんか、凄いぞ、はっきりと目の前で言われたことでも

「仕方ないじゃん、説明はするけど、気をつけて努力はするけど、誤解されない人なんて

いないから」と言い切る。

 それは、諦めではなく覚悟だと思う。

 

 あー、さすがの私も(自分って凄いと思っている)マサミッチの前向きさには脱帽です。

メゲナイ、拗(す)ねない、いじけない。でもって、元気で前向きって、ヘンだから。

 でも、自分もヘンになろうと決めました。

そしたら、楽になったみたい。

 やるだけやって、考えても仕方がないことは、何かが起きてから考えることにしました。

 

あー、今日は風が強いけど、いい天気。

メダカが、ヒメダカに加えて白メダカと黒メダカが卵をバンバン産んで少しずつ孵って

います。

 それを、新しい水槽に移そうかと考え中でーす。

楽しみー(^−^)

♪メダカの学校は川の中、だーれが、生徒か先生か、だーれが、生徒か先生か

                          みんなでお遊戯しているよ♪