マッサージ(トミコさん)

 

 私は何時も何処かの調子が悪くて、マッサージや整体、カイロプラテック、足裏や

リンパなどのマッサージにかかり続けてきている。

 30歳になったばかりに時、仕事先のホテルでマッサージを頼んだら視覚障害の人が

来たのだが「奥さんの身体は若いですねー」と感心したように何度も言っていたが、

あの人は私が30になったばかりだとは思ってなかったんじゃないかと思う。

 それから少しした頃に熱海で、今の私のマッサージ伝説に残るトミコさんという人に

出会った。

 それは、体中の毒素を中央から指先の方へと搾(しぼ)り出すという感じで、一緒に

マッサージを受けた夫は悲鳴を上げながら、もう一度揉んでもらっていた。

 顔も揉むのだが、これもチョー痛い。

こんなに顔って痛いのかと驚いたが、翌日の朝、あんなに身体が軽かったことはなかった。

 トミコさんは、その地域で名前を言ったらすぐに分かってしまうような優秀な家系で

優秀な家族に生まれたオチコボレだったんだそうだ。

 マッサージ師になってからは、家族も親戚も彼女を存在しなかったことにしたらしい。

(ここまでは本人談)

その彼女が、自分では言わなかったが、マッサージのカリスマになった。と私は判断

した。

 本になるような有名会社の社長が、熱海に来るとトミコさんを指名して滞在している間

仕事しなくてもいいからと料金前払いで傍に置くらしい。

 彼女にマッサージしてもらいたい為だけに、そこの有名旅館に泊まりに来る人も居る

らしい。

 私もトミコさんにマッサージしてもらう為に、熱海に行きたい!と何度思ったことか。

残念ながらそれから一度もトミコさんの所には行けず、今20年以上が経った。

でも、その時に彼女に言われた言葉を宝物にしている。

「あー、この身体は40過ぎたらガタガタだね」と30歳を過ぎたばかりの私に

トミコさんは言った。

「えー、そんなの困ります」

「困るったって、この身体じゃガタガタになるのは目に見えてるな」

「どうにかならないですか?」

「そーだな、ちゃんと自分で努力すれば、どうにかなるな」

「どうしたらいいんですか?」

「ちゃんと実行するなら教えてやる」

「ちゃんとやります」

「本当だな」と言って、

教えてくれたのが、“臭い野菜と色の濃い野菜を食べる”と

“ネバネバ、ヌルヌルを食べる”だった。

で、それからセロリ、パセリ、紫蘇、生姜、にんにく、茗荷、ピーマン、ブロッコリー、

ニンジン、カボチャにトマト、などなど、

それに、納豆、ワカメ、メカブ、山芋なんかを、兎に角、意識して食べるように努力し

続けてきている。

 まあ、そう絶好調って程でもないんだけど、今の自分があることの一つにトミコさんの

アドバイスと、それをやり続けてきたってのが、あるんじゃないかな。

 理屈語って自分はやってないって人が居るけど、そうならないように気をつけようっと。

実は、時々そうなってるんだ。

 

 私がマッサージにかかるのは、仕事や旅行で夫と出掛けている時が多かった。

マッサージって、してもらってる人を横から見ていると上手そうなのに、かかって

みたら「ザンネーン!」って場合がある。

 なので、夫と暗号を決めた。

マッサージには、殆ど夫が先にかかる。

眠くなりながら、それを横目で見ながら(いいなぁ)と待つこと約1時間。

マッサージが終わって「あんたもやってもらったら?」と言ったらOK。

「いやぁ、お世話様でした」と言ったらスルー。

ところが、「あんたもやってもらったら?」という声に喜び勇んで

「あっ、お願いします!」と言うと

「すみませんねぇ、始まる前でしたらよかったんですが、次が入っちゃったんですよ」

と、断られることになる。

 

 そうなのよ。

求めるモノは競争率が激しく、いらないモノはあまっているんだよねぇ。