ミャミャの薬

 

 ミャミャが、ウチに来て一年になる。

一年前に載せた“ミャミャ”と“猫糞”を読み直して懐かしい気持ちになった。

 

 現在のミャミャは、誰にでも腹を見せ、腹を撫でられると大きく伸びをして寝返りを

打って反対側も撫でろと仰せになる。

最近、またサカリがきて夜な夜な徘徊していたようだったが、私が病院から戻ると

やけに元気がない。残すことのないカリカリのエサも殆ど食べない。

最初、その様子がおっとりしているように見えて何処かに別宅を見つけたなと思った。

猫は、色んな所で色んな人に違う名前を付けられてエサを貰っていたりするが、

ミャミャも美しくなってきて、ついに何処かで可愛がられ出したのかと、思っていた。

 しかし、二三日見ない間に、ボッコリと首が腫れて鳴き声も出ない有様になっていた。

そういえば、出掛ける前にも前足を噛まれ、倍位に太くなっていた。首はその後、

私が居ない間か、出掛ける直前あたりにやられたのだろう。

私は手術の後で安静が必要だというが、眼は真っ赤だがゴロゴロしてきたので身体は

快調で、どうしても仕事や、家事をしてしまう。

ゆっくりしようと思うと裏のミャミャの所に足が向く。

 

 田んぼの稲が青々と伸びて、そこを風が渡る。

ミャミャは、青い台車の上で手足を放り出してボンヤリしている。

私の顔を見ると「ミャー」と言おうとするが、声が出ない。

緑色の目がウツロだ。

近くに腰を下ろすと、ノロノロと寄って来た。

猫の頭を掻いていると、ようやく横になった。痛くて警戒していたのだろう。

首に触らないようにして暫く腹を撫でていると、仰向きになった。

喉元が噛まれて皮膚がむき出しになり、そこに膿が出ている。化膿している。

薬でも付けようかと思ったのだが、以前に薬を付けようとしたら嫌がって暴れて逃げた

ことを思い出した。私が飲んでいる抗生剤の薬をやってみようと思い立った。

 病院から帰った私は、毎日目薬を3,4時間おきに点眼して、食後に抗生剤のカプセル

一錠を飲んでいる。

 その抗生剤を与えてみようと思ったのだ。

ミャミャは、カリカリに好物の鰹節を乗せてもたべなくなっていた。

 夕食の鯛の刺身に、カプセルを外して出した白い粉をちょっと付けてきた。

だるそうに横になっていたが、ノロノロとだが傍に来る。律儀なヤツだ。

 刺身を見せると、ちょっと目が光った。

大きなままでは食べづらいだろうと細かく千切っている手元を、じっと見ている。

 ふた切ればかりをペロリと食べた。

翌日も、白い粉を付けたマグロを食べた。

 その合間に腹を撫でるとゴロゴロと言うようになって、そこにタンが絡まって咳なん

かして、鳴き声も出るようになった。

 そして、今日は、元気になってカリカリのゴハンを残さず食べた。

 

 動物ってヤツは、って動物に限らない。

生きモノってやつは、ちょっと様子がおかしいと心配になる。

 昔、次から次と色んなことが心配で、子供のことを心配している私に向かって、

ある人が言った。

「あなた、心配するのは自分の愛情が深いからだと思っていない?

それが、その人の重荷になることもあるのよ」

 

 でーもなぁ、心配になっちゃうんだよなぁ。

せめて、人間には、お節介しないように気を付けようっと。

 

 マイロは、最近リュックに入って自転車で走るのがお気に入り。

病院に持っていったバックにも、知らない間に一人(一匹)で入っていて、ファスナー

の間からヒョッコリ顔を出していたりする。

そういった袋物が大好きで、以前はウルサイ時に袋に入れてドアノブに掛けておくと

うっとりしていた。

 昨日の朝は、7時前からリュックに入って、背中じゃなくて前に下げて風を切って

お散歩してきた。って、それは、お散歩じゃ、なーい。

 リュックに入る時が面白くて、リュックを横にすると自分で上手に入るんだけど、

まだ形を整えていないのに入ろうとするので「まだ、まだ、まだ駄目だよ」と、言うと

じっと待ってる。

 最近、待つってことが出来るようになって、何でも進歩するんだねぇ。

 

      ミャミャの話だけでは何なので、マイロの話も書いてみた。