内藤、亀田

 

 夕べ、ボクシングの試合を見た。

 

 チャンピョン内藤に挑戦した亀田次男、彼の本当の気持ちはどうだか分からない。

分からないが、舐めてかかっているように見えた。

 戦いは呑んでかからねばならないと思う。

しかし、絶対に舐めてはならない。

 そこのところが亀田一家はみんな、ズレている気がしてならない。

 

格闘技、スポーツ、恋愛、仕事、生きることは総て勝負だと思う。

何事もそれを行う場合、それに対する敬いの気持ちを持って敬意を持って真摯(しんし)

に対峙することが基本になる。

そこに、礼儀が現れる。礼儀は単なる形ではない。心、気持ちが現れての礼儀だ。

 夢中になって我を忘れてしまったり、現(うつつ)を抜かしては、

また、有頂天になって逆上(のぼ)せたりしては、勝負にならない。

 行うからには、忍耐と努力の積み重ね、その上で真摯に向き合い、心を尽くして行う。

熱くならなきゃ面白くない、でも夢中になって周りが見えなくなってはならない。

難しいなぁ。

でも、だからこそ面白い。

 

“玉石混交せず”という。

ナルホド、呑んでかかると舐めてかかるのは、似て非なる、いや正反対のことだ。

真剣になることと深刻になることも、つい取り違えやすい。

 私は、筋が通るということは、玉石を混交しない、取り違えないということだと思う。

 

内藤と亀田の試合は、内藤の方が挑戦者に見えた。

最初から果敢に手を出し、精一杯前に出ていた。

本気で熱くなっていることが伝わってきた。

でも我を忘れてはおらず、冷静だった。

 

腰が据わって相手の出方を見ているように見える亀田の方が、実力があるかのように

見えた。

内藤は、以前に試合で切った目の上が切れ、出血のためのPK負けが危ぶまれた。

力を出し惜しみしない彼の、前半の勢いが何処まで続くかと思った。

 

 若々しいということと、幼いことは違う。

大人であるということと、ふてぶてしいことも違うことだ。

 

亀田18歳、内藤33歳。

ここで、♪中島みゆきのプロジェクトXの曲〜♪ 流れる。

 

しかし、余裕をこいているように見えた亀田が、最終ラウンドになっても勢いが衰えず

攻めてくる内藤に思うように手が出ず、首投げや抱えあげるという、

前代未聞の恥さらしの暴挙に出るのだ。

3ポイントの反則が取られる。

ここに、熱くなることとヤケッパチになることを間違っている亀田が居た。

内藤の怒りは、ボクシングに向かった。堂々の勝利だった。

     ♪中島の歌〜♪ 流れる。

 

パンツの穿いてないサルっていうか、サルはパンツをはいていなくても恥ずかしく

ないが、パンツを穿いてない人間は、恥ずかしい。

穿いてないことに気が付かないでいる人間は、見ている方も恥ずかしい。

 

因みにそのパンツとは、筋が通って、敬意を持つということじゃないかな。

 

 試合を見た後、熱くなった私はシャドウで暴れてみた。