ニンニク

 

 今日は、木曜日。

火曜日、何年か振りのゴルフに行った。

全く練習場にも行かなかったのにまあまあの出来。

しかし、ちょいと疲れた。

だ、もんで水曜日、新ニンニクの大きいヤツを丸焼きにして食す。

あーんど、大根千切りをどんぶりイッパイ食した。

昨日、ご飯を作ってないという母からの電話(毎日のこと)に、あり合わせのおかず(大

根サラダ、ホルモン煮付け、焼き魚、ウインナー卵焼き、キュウリとカニカマなど)と

一緒にメモ用紙に「明日は病院、朝9時45分に向かえに行くからね」と書いて渡した。

 

 前日のニンニクが利いたのか大根が利いたのか、昨夜は腹痛と屁が止まらず。

今朝はなにやら沢山の夢を見て、何時もより目の覚めるのが遅かった。

 腹の具合は大丈夫だろうか、病院に行く途中に催したらどうしようとちょっと不安に

なり、早めに車に乗るとガス欠のランプが点滅。

 ガソリンスタンドに寄ってから母の家に行くか、母を乗せてからスタンドに行くか?

母を乗せてスタンドに寄ろう。と、決めて母の家に行く。

 あれ?何時もある父の車がない。

そして、何時も外に出て待っている母の姿がない。

 チャイムを鳴らしたが、出てこない。

あー、父が病院に送って行ったんだ。と、瞬時に判断。

 ならば、ガソリンスタンドに寄って早いトコ病院に行こう。

と、車に戻って発車。

 その時、足の弱った母は玄関に向かっていた。らしい。

しかし、私は、ありがたいなぁ。と、ガソリンスタンドに寄り、病院へと車を走らせて

いた。

父が病院に連れて行ってくれていたら早くに採血が済んでいるので検査の結果も早く

出る。ってことは、早くに先生の話が聞けるじゃないか。

なーんて、やさしい気遣いのある父親なんでしょ。と思いながら病院に着いた。

なのに、病院の中に母の姿が見当たらず、あちこち捜すも見つからない。

母の家に電話しようとしたが間違って仕事場にしてしまった。

でも、それで正解だった。

玄関を開けたら走り去って行く私の車を見た母がパニックになって仕事場に電話して

いた。

 それから間もなく戻った父の車で病院に向かっていた。

 

 病院の玄関で待ってた私の姿を見つけた両親のこわばった顔。

きっと車の中で喧嘩しながら来たんだろう。と思う。

 人に気を使い、子供にまで気を使い、自分の失敗を責め夫婦でお互いの失敗を攻め合う

両親。

 自分を責める人は人も責めることに、攻めることになるんじゃないだろうか。な。

病院玄関で両親に、

「お母ちゃんごめんねぇー、せっかちで早とちりしちゃってぇ」

「お父ちゃん、申し訳ないねぇ手間取らせて、面倒掛けちゃって」と言うと二人ホッとし

た様子「お母ちゃんこそごめんねぇ」と、母はすぐにおどけてみせる。

 父は、整体に行っていて留守だったのだという。

母は私が鍵を持っているから家の中に居ても大丈夫だと安心していた。らしい。

 

 こんな話を妹にしたら、

「お姉ちゃん、何やってんの!ちゃんと確かめたらいいでしょうよ」と言うだろうな。

と思う。

 両親の大変さを非難しているんじゃなくて面白いなと可愛いな。と思いながら話しても

「ちょっと面白いことがあったんだよ」とそのドタバタ振りを一緒に笑おうと思っても

それが通じなくて「お姉ちゃんも年とったらきっとそうなるよ!」と、取り付く島もない

感じになるのが常。

 そういうことを言ってるんじゃなくてぇ。

と、歯痒い思いになるんだなぁ。

 

 と、そういうことがあって、職場に戻って仕事をしていた夕方

「〜損保の高橋さんから電話です」と呼びだされた。

 電話に出ると孫の保育園からだった。

なるほど、その保育園は〜損保とよく似た名前だ。

「あきなちゃんのお祖母ちゃんですか?」

「はい、そうです」

「あきなちゃんが38度4分の熱なんですけどお迎え来られますか?」

「はい、モチロン」

「何分位で来られますか?」

「15分以内で行けます」

「良かった、じゃお願いします」

 そして娘が迎えに行くことになったが、

「めんどくせーなぁ」とポツリ一言。

 その時、娘の気持が手に取るように分かった。

面倒なんじゃないんだな。

 心配とどうしたらいいかわからない不安に駆られているんだな。

母がダメかもしれないと何度覚悟したことか、その時の気持ちが“めんどくせーなぁ”

だった。

 それは、自分に負荷が掛かることが嫌だというような気持ちなんじゃなくて、その相手

に対する愛おしさというか本当に心底思う気持ちの表れなんだと思う。

 そして、ハッと思った。

私の妹が、私が愚痴というか困った話をすると突き放すように「何でちゃんとしないの!」

と怒るのは、めんどくせーなぁ。と同じなんじゃないだろうか。

 両親の面倒を見ているゴタゴタを話した時、病院であった話をした時、私が求めている

「お姉ちゃん、何時も全部やってもらっちゃってありがとうね」とか、

「それは大変だったねぇ」とか「面白いねぇ」という反応がないのを残念に思っていたが、

考えてみたら妹はそんなお為ごかしの言葉を口にする人ではなかった。

 感謝していても、いや、感謝していれば余計反対に憎まれ口を利く人だったっけ。

と、思い出した。

 何だか嬉しくなって、スッキリして仕事に戻った。

まぁ、孫のことは心配だったけど。

 

 よーし、仕事じゃ。

と、楽しく仕事していたんじゃが、口がニンニク臭い。

 最初はマスクをしていたんだが、何とも息苦しい。

もう大丈夫だろうとマスクを外して仕事に勤しむ。

 しかし、相当臭かったらしい。

 

 はい、臭い臭いと本当のことを言ってくれた貴方の為に、疲れて眠いんだけど、これを

書きましたからね。

 じゃ、オヤスミナサーイ。