汚物

 

<原発使って、溜まった汚物の置き場を捜す>

 原子力発電のコトを知って、

「え〜?!

そんな!出したもんの始末をつけられないのにやってるなんて、

そんなバカなことやってるわけあっかよ!?

人間、そこまでバカじゃねえべ!!」と思ったのは何時だったか…。

 

1999年の臨界の事故(人災)が、あった時には、原発ゼッタイ反対だったんだから、

そう思ったのは、その大分前のことだ。

 まだ海に汚物(使用済み燃料棒)を捨ててる。って頃だった。

 

原子力発電で出た核廃棄物の処理が、日本ばかりか世界中どこの国でも始末することが

出来ない。と初めて知った時、

きっと、ワシに知識がないだけで、きっと、何か大丈夫なカラクリがあるんだ。と

思った。そう、思いたかった。

 それが、やっぱり放射能の処理については世界中が無能で、こんなに科学が発達して

いるんだからもうすぐ出来るようになるだろう。なんて甘い考えで進めていたなんて…。

 あんなに頭の良い(?)人たちが、躍起となって研究し勧めてきた原子力発電が、

その廃棄物の行き先のないまま、見切り発車で始まっていたなんて、思いもよらないこと

だった。

 それがどうしようもないもんだから、再処理工場を作って失敗。

自殺した人は、若しかして絶望しての身を捨てた抗議の訴えだったのでは。

 最近はモロッコだかモンゴルだかに置かせてもらうべ。なんて話を聞いた。

自分とこの汚物を他所に押し付けんじゃねえよ。

 以前、貧しい国に行って女を買い、「これも貧しい国助けの一つの方法だ」なんて

言ってるバカが居て。

「助けるなら、その人がそういうことをしなくても暮らせる援助か寄付をしたら?」と

言ったら、「やらせないヤツに何で金を出さなきゃなんないんだ」と言った。

 日本の危険ごみを、金を出しても他所にやるような真似をしてはならない。

日本は、そういうこと平気でやるだろうな。きっと。

 だって、自分の国の人もだまし討ちのような真似をして、見殺しにするような国なんだ

もの。

 獲らぬ狸の皮算用、泥棒捕らえて縄をなう、ってのは、浮かれて夢を見ている人、

或いは段取りが悪い人の、後手後手のみっともない姿を指した慣用句だが、正にその通り。

 

<公害汚染から放射能汚染へ>

 昔、子供をみる仕事をしていた。

 その人たちの集まりに行くと、よく合唱した歌があった。

「♪青い空を〜、青いままで、子供らに伝えたい〜♪」

 コンピューター付きブルドーザーと呼ばれる人の高度経済成長計画。

それによっての公害、光化学スモックの発生、工場から汚水(化学薬品)の垂れ流し、

政治家と財界の不正癒着、官僚の天下りなど当たり前の当然至極の時代で、自然破壊が

行われまくっていた。そこには、必要のない工事がどれだけあったことか。(今も)

 その頃の私は、何故かこの歌を歌うと喉が詰まり胸がイッパイになって歌えなくなった。

公害汚染の一番の被害者は、身体の出来あがっていない柔らかな子供たちだった。

 日本は、見せ掛けだけのキレイさと、世界の評価に翻弄され本当の豊かさを忘れた。

国民総幸福感GNHを目標にするブータン。国民総生産GNPを目標としてきた日本。

 本当にシアワセを感じているのは、どっちだろう。

 

 オイルショックがあったのは、1973年。

日本列島改造はスローダウン、火力発電に頼ってきた日本が、次に目を付けた原発。

ふたご座のAB型、風見鶏という人によって原子力発電が推進されていく。

 

1956年、10月26日、日本が国際原子力機関に参加。

1963年、10月26日、東海村の原子力研究所の動力試験炉で、日本で初めての

原子力発電に成功し10月26日は、原子の日となった。

 

 電気が不足したら日本の経済の成長はない。と、原子力発電はドンドン勧められていく。

 

 でも、どー考えても、使用済みの燃料棒をどうしたらいいかが分からないなら原子力を

使う権利はないでしょ、使っちゃダメでしょ。

核で電気を起こすってことは、核に中性子をぶつけて爆発を起こすってことで、一度

起こしたら半永久的に起こし続けて、放射能が出続けるんだよ。

 そして、それは、もう、人間の手で止めることは出来ないんだよ。

安全だ、安心だ。と言い続けてきた原発推進派の考えが、私には分からない。

 ちゃんと管理をしていたら(?)って。

人間は間違う生きもので、ましてや見栄とご都合主義で固まっている体質の東電。

隠ぺいと誤魔化し、不正癒着の体質に信頼なんて出来る筈がない。

事実、どれだけ沢山の間違いがあってきた?

空気を汚さず少ないコストで大量の電気が作れる。ということだが、目に見えないだけ

でその汚れ方は今までに類を見ない恐ろしいものでしょが。

 少ないコストで、って?

一度使い出したら止めることが出来ない原発の電気は、必要なくても動き続けるから

何かに使うことのない電気を使う為の箱モノを作って動かそうとして、

その箱モノを使わず放置する有様。

 何時かは、廃炉になる原発建屋。

それを定期点検しながら維持管理していく経費は、コストに含まれていない。

そして、原子力だけは、間違いは、絶対許されない。

なのに、人間は間違う生きもの。

加えて、自然災害は何時起きるか分からず、逆らうことは出来ない。

今回の地震を予見(予言じゃない)していた人は、山ほど居る。

その人たちは、研究者と呼ばれる信頼のおける人たちだ。

その人たちの話に耳を傾けるだけの、謙虚さのなかった東電。

 

<広瀬 隆>

 去年の秋、広瀬隆氏の講演会に行った。

そこで、彼が何度も言った言葉。

「広瀬が言っているんだからそうなんだろう。と鵜呑みにしないでください。

ちゃんと自分で調べてください。ネットでも本でも出ています。

誰かの意見を聞くのもいいでしょうが、先ずは、事実をちゃんとリサーチしたものを

自分の目で見て、自分で確かめてみてください。

そこで、考えて欲しいんです。

本当はどうなんだろうか?と」

 私は、自分で見もせず読みもせず、誰かの意見を聞いてそれに対して非難したり同調

しているだけの人が多い気がしてならない。

 経験のない実績のない批評家ばかりの世の中になった時、国が滅びる。

そうならない為には、自分で確かめることだ。

 面倒臭いから簡単に要点だけを説明して。という言葉を何百回聞いてきたか。

人はどんなに未熟でも、自分の目で見て、自分の頭で考えなければ自分の納得のいく答え

は出ない。

 そう、誰もその人自分自身の答えを見つけることが、自分の人生を生きるってことだ。

 

<真摯さ>

私は、科学者や研究者に必要不可欠なのは、真摯さである。と思う。

いくら頭が良くても研究熱心であっても、そこに正直で真直ぐな心がなかったら、事実を

正しく受け止めることが出来ないと思う。

研究調査の結果を真直ぐに正確に伝えることが出来ない。

見栄や名誉欲、保身などの我欲に囚われている者は、勿体をつけて出し惜しみし

事実を捻じ曲げたり、粉飾したい我欲に負ける。

欲に目が曇り、そこにある危機が見えなくなり、気付くことが出来ない。

真摯であるということは、すべての宝だ。

 

<原発を廃炉にしたら>

 以前、原子力発電には反対だ。という話を夫にした時、

「俺は、あんたの人生や生き方思想に口出す気は全くない。

でも、あんたはイヤかもしんないけど、世の中には、色んなしがらみってのがあって

成り立っているんだ。

で、以ってそのしがらみに助けられて生きてきた部分がある、というのは事実なんだ。

俺の知り合いや友達に東電で働いている人が、イッパイ居る。そこに家族も居る。

東電から仕事も貰ってきている。

それで成り立ってきた部分があるってことを忘れちゃならないと、俺は思う」と彼は言い

 さらに、「恩を仇で返すような真似は出来ない」と言った。

「恩があると思うなら、逆に今すぐ原発を止めさせるべきだ。

原発で働いている人だって被害者になるんだから」と私は言った。

(私は、遠い将来に起きると思って言ったことが、こんなに早く来るとは思っていな

かった)

私は、大事だからとか大事じゃない、敵だから味方だからということで考えや対応を

変えるような判断は、本当の判断ではないと思っている。

しがらみに囚われて考えた時、正しい判断は出来なくなる。

 

 夫の話で思い出したのが、戦争の時、戦争に反対する人が居た時、

『戦争で戦っている息子を、お国の為に死んだ夫を否定するんですか』と言う人が現れた。

 それと同じじゃないかと思う。

戦争には反対するが、そこで犠牲になった人を否定しているのではない。

 原発には反対するが、原発で働いてきた人を否定することは、してはならない。

その二つは別の問題だからだ。

 

「原発がなくなったら、そこで働いている人達は仕事がなくなっちゃうべよ」と、夫。

「残念でした。原子炉を廃炉にしたって、もう安全ってワケじゃないんだよ。

定期点検、検査調査、老朽化する廃炉の建て替えとか、何百年単位でしていかなくちゃ

ならないし、優秀な人たちは新しいエネルギーの開発に向けての研究を始めればいいし、

そこで働く人も必要になるだろうよ」

と、言っていたが、今回のフクシマ原発人災によって、被災した人たちに償いをして

いくという仕事が増えた。

 チェルノブイリの原発人災事故から25年が経ったが、石棺と呼ばれる廃炉は老朽化が

酷くその上を覆う建物を作らねば大変な状態なのだそうだ。

しかし、それを作る資金がないんだそうだ。

「どうするんだろう?」なんて思っていたが、今、日本は、もっと大変で深刻なことが

進んでいて他所様の心配をしている場合じゃなくなった。

 

<腐敗大国の汚物>

大分前から、何人もの地震学者や原発の危険警告者(名誉や手柄の為でない人たち)が、

今回の大地震を予見していた。

が、面倒な得にならないことからは逃げて、自分の得になることだけに奔走している

この腐れ切った日本の体質はそれを握りつぶした。

 

 3,11大地震、津波、フクシマ原発冷却装置停止。

広瀬氏は、「冷却を止めたら水素爆発が起きる。何としても冷却を止めてはならん!」と

警告。

 誰の指示か分からないが、冷却装置が55分止まる。(後に止めてないという話が出る)

広瀬氏「原子炉はアメリカの設計図を基に、日本のメーカーが組み立てただけで

日本に原子力発電の専門家は居ない。すぐに、アメリカの協力を仰ぐべきだ」と言った。

アメリカのメーカーが、『手助けしたい』と言ってきたのを日本は断る。

 

 3月12日 一号機、水素爆発 1億6600万ベクレルの放射能が飛び散る。

3月15日 2号機 爆発

      間もなく“メルトダウン”したが、気が付かない振り。

 20キロ圏内避難勧告。は、地図上の距離で決められ避難させられるが、避難した

地域の方が、放射能濃度が高い所がありそこに避難しての被爆者が出る。

風評被害、正しい明らかな情報を出さない為に起きた。(火事を消すには、水のように

風評を治めるには、正しいリサーチと情報開示が必要なのだが、リサーチも情報もない

ので憶測が独り歩き)

情報が後出しジャンケンのように様子を見ながら、事が終わった頃に出てくる姑息さ。

ない筈のない記録が見つからないという。隠ぺいと誤魔化し。

 スピーディーという機械で、風向きによって放射能がどのように流れたかは分かって

いたという。

 それを海外の人達はみんな知っていて、当の日本人(インターネットを見ていない)は、

知らずにいた。

 海外のニュースでは、日本人の知らないことをバンバン流していた。

文部科学省、安全保安員、政府官邸、東電が、責任転嫁、責任逃れ、責任の押し付けあい。

をしている時、そこに居る被害者を思う気持ちはない。

更に起きたことの、起きていることの情報公開をしないために新たな不安と被害者を

作りだしている。

前にも書いた気がするが、「ドキュメント東海村」という1999年に起きた火災爆発と

臨界人災事故。の本の帯に書かれた言葉。

「“怠慢”と“惰性”が招いた二大事故!そこに現代社会の病巣が見える」

 あの失敗は、教訓にはならなかったのか。

 

 それにしても、日本人は穏やかというか、押しが弱い。

「本当のことを発表してもらえたら有難いですよね」って、事実を発表するのは国の勤め

義務じゃねえのか!?

頼んで“してもらう”ことじゃなくて、国のプライドを掛けて国がやれよ!

 

 もー、文句を言い出したらキリがないんだけど、

自民党から民主党に政権が移った時。

「さて、お手並み拝見といきますか」と言ったバカが居た。

天下国家、日本を思う心があったら、それまでに培った経験と知恵を出し惜しみせずに

贈るべきじゃろがぁ。

 あー、日本の国が良くなるより自分の面子の方が大事な人間には、それは出来ねぇべな。

連立政権なんて、やれる器の人は、今の日本には居ないんだろうか。

 

 汚物って題名付けたけど、イッパイあるねぇ。汚物。