オカマをホル

 

 塚石の孫が、今年小学校に入学した。

両家の初孫で、一人っ子のリンちゃんは、照れ屋でシャイみたいなんだけど、

オジョーサマでお姫様だ。

 でも、本人はそういうことに全く気が付いていない。

まあ、だからお姫様なんだろうね。

 以前、彼女が3歳の頃かな?

母親に連れられて我が家に来たことがあった。

 と、ここでリンちゃんの話は横に置いておいて、

 リンちゃんの母親(マミコ)ってのが、よく話に出てくる塚ちゃんの長女で、

小学校の宿題の“しりとり”で「ま○こ」って書いてるのを見て仰天した塚ちゃんが、

「まみこ」に直させたというあのマミコちゃんだ。

 

みんなで一緒に旅行に行ったことがあった。

その時に親子は別の車に乗ることというキマリを作って、私の車にマミコちゃんと

その妹のユミちゃんを乗せていた。

二人は2つ違いで当時は、思春期だった。

そこで、私の血が騒いだ。

教育をせねば!ってんで、性教育をおっぱじめた。

 要するに、人間関係は恋愛でも友達でもリスペクト、尊敬の心を持っていれば大丈夫

なんだということを話した。

そこで、好きな人にリスペクト敬意を払うのは簡単だが、嫌いだったり

良いと思えない人にこそ敬意を払うということが大事なんだ。と私は話した。

そして、危険なオバサンは、「オカマをホルって言葉を知っているか?」と二人に聞いた。

「分かんない」と二人は言った。

「そーか、じゃ教えてやろう」と話したのが、

 

車に車が、後ろから追突することを“オカマをホル”という。

何故“オカマをホル”と言うのかというと、オカマはドッキングする時、ケツの穴を使う。

つまり、ケツをホル。そこから、車を後ろケツからぶつけることをオカマをホルと言う

のだ。と話すと、二人の子女は大いに驚いていた。

 で、何故、ホモセクシュアルの人にエイズが多いか。

女性の膣の皮膚の厚さと、肛門の皮膚の厚さは全く違う。

肛門の皮膚は、女性のそれに比べて滅法薄い。

そこで、性交渉をした時、傷が付きやすく、エイズウイルスは、とても弱い菌だが

血液感染をするので感染しやすいのだ。

また、異性での性交渉は妊娠を防ぐためにコンドームを使うことが多いのに比べて、

同性での場合は子供が出来ないのでコンドームを使わないことが、色々な病気の感染が

多くなる要因となる。

 そこで、また大事な事は、同性愛者に対して嫌悪や差別の気持ちを持ってはならない

ということだ。

 プラトンの饗宴の中に、大昔、今の人間が出来る前の人間は、男男、男女、女女、の

二つで一人として、3種類の人間が居たという。

 でも、神の怒りに触れることになって、その二つは引き剥がされて世界中に散らばった。

今の人間は、その片割れだから一人で居ることが淋しくて、その剥がされた片割れを

探して生きるのだそうだ。

 男と男が愛し合っても何らおかしいことではない。と私は思う。

男と女だからおかしくなくて、女と女はおかしい気持ち悪いっていうのは、自分は

普通で正常だと思い込んでる人間の思い上がりだと思う。

結婚してるから何をやってもいいのでなくて、その人の良識、良心に恥じないことが

大事なんだと思う。

 その基本になるのが、相手に対する敬意、リスペクトだと私は思う。という話をしたが、

あー、こうやって書くと、ゲゲッ、過激じゃのう。

 

 マミコちゃんの妹であるユミちゃんは、ニッコリ風貌に似合わず中々面白いジャブを

打つらしい。

 反抗する時は、それがキツイんだと塚ちゃんは言うが、

「でもねぇ、時々感心するようなことを言うんだよね」と塚ちゃんは言う。

幼稚園の頃に

『ゼイニクって無駄なお肉のことなんでしょ、

じゃ、ゼイキンって無駄なお金ってこと?』って聞いてきたことがあったり、

台所でおにぎり作っていた塚ちゃんが、ユミちゃんに『ノリ出して』って言ってるのに、

横で動かないから『何やってんのよ!』って言ったら、『のりだしてるぅ』ってテーブルに

つかまって身を乗り出してた。

 というような娘も、そろそろ三十路を迎える。

 

 今春、ピッカピカの1年生になるリンちゃんの話に戻ろう。

3歳の頃に来たリンちゃんは、照れ屋で、最初はバアバやママの陰に隠れていたが、

私が面白いオバサンだと気が付くや否や、一人で私に付いてきて吹き抜けのある山小屋

の二階に上がることになった。

そこで、『階段を登る時は、手をチュナガナイとダメなの!』と、私はお叱りを受け、

リンちゃんの小さなツルツルの手に握られて二階へ上ったが、

『あの下に見えるオモチャを下に行ってミテミタイー』とリンちゃんは仰せられ、

階段を下りて、下でオモチャを見たら

『これを上からミテミタイノー』とのこと。

そのたびに、

『手をチュナガナイとダメなのー』とご注意を受け、

『もうお姉さんだからダッコはしなくてイイノォー』ということで、

私は“手を繋いでユックリ上がり降りをするように”と、おおせつかった。

上から見たオモチャの角度が悪いと、クレームが入り下に行って直していると

リン姫は、勝手に階段を下りているではないか。

「一人で降りてはダメなんでしょうがぁ」と言うと

『もう、ダオジョーブなのー』と、リン姫の成長は著しい。

 

 昨年はパパが入院した病院のロビーでツッコロビ、前歯(乳歯でよかった)が飛ぶと

いう快挙を成し遂げたリンちゃんだが、

血だらけになった口を押さえて集まってきた看護婦に言った言葉が、

『救急車は呼ばないで!救急車は呼ばないで!』だった。

あのー、ココは、救急車呼ぶより早いですから。

 

「最近のリンちゃんはどう?」と聞いた。

「うん最近は生意気に拍車がかかって、何か聞くと

『そうですけどぉ、何か文句ありますかぁ』って言うんだよね」

「えー、何それ?」

「例えば、『お風呂入ったの?』って聞いたとするでしょ、そうすると

『入りましたけどぉ、何か文句ありますかぁ』って横目で見て言うんだよね」

「片付けしたの?」

「やってませんけどぉ、何か文句ありますかぁ」

「これ、食べる?」

「食べますけどぉ、何か文句ありますかぁ」

 

「それって、『そんなの関係ねぇ』より流行るんじゃないの?」って、塚ちゃんと腹抱えて

笑っちゃいましたよ。

 「オカマをホル」の意味を教えたマミコちゃんの子供が、小学生になるんだもんなぁー。

早いもんだよ。

           「はいぃー?何か、文句ありますかぁ」