“世界が100人の村だったら”

 今、“世界が100人の村だったら”の翻訳をした作家の池田香代子氏の講演を拝聴して

きたところだ。

 講演を終えたばかりの彼女から持参した本にサインしていただき、その上不躾にも

私のホームページアドレスの書かれた名刺を渡してきた。

 こんな私を、池田氏はなんちゅう失礼なヤツなんだろうと思ったことだろう。

彼女に私のホームページを読んで欲しいという思いで、緊張で自己嫌悪になりながら池田

氏の前に出て行ったが、私は気が小さいというか人前に出たくない人間だとは皆知らない。

 申し訳ないが、サインはどうでも良かった。

私は、物質や地位名声にはあまり興味がない。

池田氏の本と生き方に感銘を受け、自分との接点が欲しいと思った。

あのサインの入った100人の村の1と2、2冊の本は今まで通り誰にでも貸していく

ことだろう。

 

 講題は、「食卓から地球へ 平和な世界へ」だった。

先日、確か日経新聞だった気がしたが、日本の残飯について載っていた。

 現在の日本で出している残飯は、年間700万トン。金額にして11兆円になる。

この残飯量は、世界の食糧援助総量に匹敵し、日本の農水産業省生産量と同量だという。

 つまり、残飯を出さずに食糧援助に回せば、現在の食糧援助の倍、援助出来るのだ。

それは、計算上の話だと言われるかもしれないが、現在の日本人が食べ物を粗末にしてい

ることは紛れもない事実だ。

 日本の食品の自給率は40パーセントだが、そのうちの半分は廃棄されているという。

ということは、20パーセントということなのか?

 そして、それを有効利用すれば80パーセントになるということなのだろうか?

 

 池田氏の話で印象に残ったのは、「女子の教育で世界が変わる」という話だった。

マイクロクレジットという支援団体がある。

以前にテレビで見たことがあるが、貧しいアジアの国々の女性を対象にした資金の貸し

出しをすることによって支援をする会社だ。

 それが、貸し出し資金の回収率が殆ど100パーセントなのだという。

男に貸すと酒やギャンブルに使ってしまうことが多いが、女は真面目で仕事も失敗せず

返済の期日も守るのだという。

だから、安い金利でも採算が合うのだという。

 池田氏の話では、マイクロクレジットを利用したいために女子が勉強を始めたことが、

最大の効果だと言っていた。

読み書き計算が出来なければ、仕事の資金を借りることが出来ない。

希望と向上心を持った女が、勉強を始める。

そこから、世界が変わっていく。

 きゃー、なんて素敵なんでしょ!

「あなたの不安は、私の平和を脅(おびや)かす」

飢えと貧困は、希望と実践によって変わっていく。

 

 今年の運勢で書いたが、今年は女の年だ。

女が変わる成長することで、世の中は変わっていく。

良くないということを一つずつ止めて、良いということを一つずつ行っていけばいい。

千里の道も一歩から、だ。

 水を汚さない(洗剤、油)。水を無駄に使わない(節水)。

ゴミを出さない。(レジ袋を貰わない、買いすぎない、生ゴミは土に戻す、ゴミの分別)

節電(こまめに電気を消す、なるべく冷暖房を使わず、設定温度をゆるくする)

 今、私が気を付けているのはそれ位かな。

以前に家庭のゴミを減らすようにと、家庭用の焼却器、機?に援助があった時期があった。

その後、低温焼却はダイオキシンが多いと家庭でゴミを燃してはいけないことになった。

 一生懸命良いことだと思ってしていて、良くないことがある。

しかし、紆余曲折しながら暗中模索でもそれが良いと思うことを一つずつしていく他に道

はないと思う。

 

 ネパールの学校の映像が流れた。

日本にいたら中学3年生かな?の女の子が、学校に行けるようになった。

朝早くから働き、それから学校へ行く。

出席率が80パーセントを超えるとWFPの援助で油が貰える。

給食が出ることを喜んで学校に行かせる親、親も貧困に過剰労働に苦しんでいる。

知人が“ネパールに学校を作る運動”に携わっている。

何度もネパールに行き、現地の人と係わるうちに本当の豊かさって何だろうと思うように

なったという。(エッセイ、ネパール読んでみてちょ)

 と同時にお金の有り難さと自由に気が付いたという。

 

チョコレートは、血の味という話を聞いたことがあったが、池田氏も同じ話をした。

子供を奴隷のように、というより奴隷として使う国がある。

 奴隷として子供を使いながら、働きが悪く身体の弱い子供を見せしめとして皆の前で

手首から切り落とすという。

 フェアトレードのチョコレートは奴隷の子供を使わない。

アメリカのハーシー社は、フェアトレードのチョコレートにしたらしい。

日本のチョコレート会社に電話をして欲しいと池田氏は言った。

「あなたの会社のチョコレート大好きなんだけど、子供を奴隷につかうなんてことがある

んですか?」と。

 友人が、それを聞いてそこの子供たちは、もっと辛い目に合うことはないの?と聞いて

きたが、私もよく分からない。

 まだ子供のうちから身体を売って稼がねばならない子供がいる。

どうしたら、その子供たちが身体を売らずに生きていけるように出来るのだろう?

 

 地球の温暖化が騒がれ、節電という声が大きくなったことで、去年は、静岡県一県分の

節電が出来たのだと池田氏は言った。

 最後に、“ひまわり”というCDをバックグランドに、池田氏が朗読をした。

その“ひまわり”は、鎌田實、監修の元、ジャズの坂田氏の演奏だということだった。

 その収益金はチェリノブイリの病院に送られ、最近はイラクにも送られているという。

 

 すべてのことは、他人ごとだと思うデリカシーのなさから悪くなる。

そして、すべてのことは、自分のことだと思って、考えて行動を始めた時に良い方向へ

動き出す。

奴隷として劣悪な所で自由を奪われ働かされ、身体が弱り、見せしめとして手を切り落

とされるのが、あなただったら、あなたのこどもだったら…。

  大事なことはイマジネーション。

 

 私は、そう確信している。