信じてる

 テレビの番組で「母親から言われた忘れられない一言」というのをやっていた。

いろいろな人が、母親から言われた忘れられない一言を俳優が演じるビデオで再現して

いた。

 

 現在30歳代の女性。

彼女が物心ついた時から両親の仲は良くなかった。

支配的な父親に絶対服従の母親を見て育った彼女は、成人を迎えた時に母親に言った。

「私たちの為にお母さんは我慢してきたんでしょ?

もう、我慢しなくていいから、お父さんと別れて自分の人生を歩んで」

 それ程、父親は支配的で思いやりがなかった。

しかし、母親は「いいのよ、私さえ我慢すればいいんだから、それにもう慣れたから」と

言った。

 彼女は大學を卒業して会社に入った。

そこで、年上の優しい男性に出会った。

父親の正反対の男性に彼女は惹かれ、付き合うようになった。

しかし、その男には妻子が居た。

男は「妻とはうまくいっていない。いずれ別れるから待ってくれ」と言った。

母親は、帰りの遅い彼女に何も言わず、夕ご飯を作って待っていてくれたという。

29歳になった時、彼女は妊娠した。男にそのことを伝えたがその態度は煮えきらず

不信感が募った。

 この女に限らず、優柔不断を優しいと勘違いする人は多い。

本当の優しさは、もっと深いところにあるということを知らないで…。

辛かったが、一人でお腹の子を産んで育てとうと彼女は思った。

 しかし、母親にそれを正面から話す勇気はなかった彼女は、自分の思いを手紙に書いて

母親に渡した。

 翌日の朝、仕事に出かけようとする彼女に、テーブルの上の手紙が目に入る。

母親からの手紙だった。

 そこには一言、「お母さんは、あなたを、信じてる」と書いてあった。

 

 それで、その彼女はそれからどうしたと思う?

 

私は、子供を産んで一人で育てることにしたんだと思った。

 

 その後、彼女は不倫していた男と別れ、腹の子を堕胎し、違う男性と結婚して

その人の子供と3人で幸せな家庭を作っていると、ビデオの最後は締めくくられた。

 あの時、母親が信じてくれたから、道を間違わず、今の幸せがあるんだそうだ。

 

はー、そうですかー。

その母親は、彼女の何を信じたんだろう?

 

 お釈迦様が、これはダメだよ。って言ってたこと。

ウソをつくことなかれ。盗むことなかれ。殺すことなかれ。

彼女はその3つの禁を犯している。

 最近は、法律に引っかからなければ、神様が許さないことでも平気なんだね。

ふーん。