遊走腎

 

 あー、今年の夏は暑いし、忙しかったー。

 

今年の2月に孫が生まれた。

その娘夫婦が新しい事業を立ち上げた。それも、私達の事業の傘下に入って。

それらは、一家の協力が必要不可欠だった。

そして、その中心となるのは、自分で言うのも何だが、私だ。

しかし、寄る年並みには勝てずどんどん疲れが溜まっていった。

そこに娘の所では飼えなくなった犬がやってきた。

これが思いの他時間を労し、体力を使うことになった。

前から居る犬(マイロ)は散歩しなくても平気だっだし、殆どイタズラもしない。

が、今度来た犬(コタロー)はオシッコ漏らしのクセがありイタズラが激しい、

食事の騒ぎも凄くて落ち着いて食事することも出来ない。

 まぁ、その分、表情が豊かでお茶目で面白い、カワイイ。がー、手間が掛かる。

淋しがりで人に付きまとい、遊べ遊べと次々とおもちゃなどを持って来る。

孫が来るとやきもちなのか、おしっこを漏らすのだが、それが取り替えたばかりの

キルトのマットとくる。歩くと靴下を引っ張るので、私の靴下にはどれにも穴があいた。

夜は、最近まで私の布団に2匹が一緒に寝ていた。

「さぁ、寝ようか」と言った途端、2匹は大喜び。

どの部屋も開け放してあるので、あちこちをダダダダーと走り回って大はしゃぎ、

それから私の布団に飛び乗る。

 そこで、私の寝る前のキマリである乳酸菌制品を、2匹にちょっとなめさせてやる。

夏は暑かったのでちょっと離れていたが、明け方冷える頃になると両脇にくっついてくる

ので寝返りが打てない。

 この腰の痛みは、そのためだと思いながら2匹の可愛さには勝てず一緒に寝ていたが、

限界がきた。

 寒くなってきたら、心配で別に寝ることなど始められないだろう。

コタローが来て2匹になったのと、まだ寒くならない今がいい機会だと、犬たちの寝床を

別の部屋に作りゲートで出られないようにした。

 

という訳で私は一人で寝るようになった。

ところが、腰も体調もその他の具合も良くなる気配がない。

横腹、腰、背が張り肩や首もゴリゴリなので

「あー、こりゃゴリゴリのゴリンジューだ」と酒を休んでみたりして、といっても

そういう時は養命酒を飲んだりしてね。

この間、市の検診を受けて異常なしだったばかりなんだが、もう一度検査を受けてみ

ようかと考えていたら、そういえば昔同じようなことがあった。と思い出した。

 

 尿たんぱくは、中学に入って念願のテニスクラブに入部した時に初めても出て

入部半年でクラブをやめた。

小学生の時も疲れが酷かった気がするが、その頃は原因が分からなかったが、出ていた

のかもしれない。

高校でも同じ、テニスクラブに入部して半年で、たんぱく尿で退部。

その後、食欲がなくなり急激に痩せ気持が落ちたことを覚えている。

30歳になる前も疲れが酷く、職場の検診でたんぱく尿が出た。

+1とか+2とか出て、医者が「ネフローゼかな」と言った。

病院嫌いの私だが、30歳を過ぎた頃、どうしようもなくなって検査を受けた。

そこで初めて“遊走腎(ゆうそうじん)”という名前を聞く。

昔からごく稀に固定手術が行われる場合もあるが、余程の事でない限りそのまま付き

合うしかないということだった。

 致命的な病気ではないことを知って、何をするという事もなくそのままになった。

 

 それから、10年以上経って46歳でおかしなことになった。

激やせ、幽体離脱、救急車で運ばれ、診断結果は栄養失調ということだったが、神経の

尖り方が異常だった。

 その翌年、気持は落ち着いてきていたが、やはり全身の痛みと疲れがあり

娘が掛かっていた東京の病院で診てもらった。

 その時の会話

「どうして、ここの病院に来たんですか?」と医師

「娘がこちらにお世話になっておりまして、私も診ていただきたいと思いまして」

「あっち(地方)の病院でも良かったんじゃないの?」

「ええ、でもしばらくこちらに来ていますので」

「そう、でもここで調べた結果は、異常は見られないよ」

「そうですか」

「何で調べようと思ったの?」

「全身が痛くて疲れが酷いんです」

「痛いって、どういう風に」

「わき腹や背中が打撲のように痛くて、肩や首が凝るんです」

「でも、異常はみられないよ」

「そうですか、有難うございました」と立ち上がろうとした私に、

「何で痛いんだろうな」と医師が言った。

医師というのはこちらから意見を言うと不機嫌になる人が多いので、なるべく話さ

ないようにしているのだけれど、

「あのぉ、以前に遊走腎だと言われたことがあるんですけど、遊走腎っていうのはこう

いう痛みが出るんでしょうか?」と言ってしまった。

 すると、

「何でもボクに聞かないでよー。

医者に聞いたら何でも分かるワケじゃないんだからね」

「あ、そうですか、失礼しました」と急いで椅子から立ち上がると、

「みんな、人間ドックに入って検査してここに来るけど、幾ら払ってドックに入ってるの

大金払って調べて来るんだったら、そこで聞いたらいいでしょうよ。

これは何ですかって、みんな聞くけど自分でも調べたらいいでしょうよ」

「はい、分かりました。自分で調べてみます」とちょっと、むかっとした私に、

「ねえ、あなたボクが幾ら貰ってると思う?

休みもなくて、まだお昼も食べていないんだよ」とその医師は言った。

その時、時計は1時をまわっていて、午後の受付は2時からになっていた。

「大変ですね」と言ったが、(この人も大分限界がきてるんだろうな)と思った。

 

このホームページを作ったのがその2年後の2004年だったのだから、その頃は、

ネットで調べるなどということは私の頭にはなかった。

で、今回これを書くにあたって初めて遊走腎について調べてみた。

そしたら、ぎょへー、スゴイねぇ。

なるほど、なるほどと、感心することが、たくさん書いてあった。

痩せ形で神経質な女性に多い。(ほー、そーかぁー)

でも最近の鬱の処方箋と同じで、何でも例外があって痩せていなくても遊走腎の人が

居たり太ったら治るといわれてきたが治らないこともあるらしい。

出産したことで内臓の筋肉が弱り遊走腎になる人もいるらしい。

女性の1.2割の人が遊走腎で、胃袋が下がると胃下垂、腎臓が寝て起きた時に下がる

(10センチ以上、2.3センチは普通)なので腎下垂ともいうらしい。

 

<症状>

 食欲不振、吐き気、下痢、便秘、胃部膨満感、側腹部痛(どういう訳か右の腎臓が

下がることが多くその為右脇腹が痛むことが多い)、腰背部痛。

血尿、タンパク尿、不定愁訴、頭痛、耳鳴り、倦怠感、胃腸障害、

虚脱体質、食欲不振、内臓垂下(虚症、きっしょう)

 

<治療と予防>

固定手術が稀にあるが、殆どしない。

太る。背筋と腹筋に筋力をつける。

コルセットをつける。が、これは寝て腎臓が下垂していない状態で装着する。

腹帯を巻く時も同じようにして巻く。

立ち続けない。

漢方薬、補中益気湯(ほちゅうえききとう)

その他、漢方薬や鍼治療など

 

 その他色々読んでいて、なるほどー!と納得した。

私は昔から「キライな人と関わりを持つと血のションベンが出る」と言い続けてきた。

 血尿が出やすかったのもたんぱく尿だったのも、不定愁訴、不安定愁訴という鬱の

ような症状も遊走腎のせいだったのか。

神経質だから太れないのか、痩せているから神経質になったのか、神経質な人という

のは病理体質からきているのか、神経質がその体型を作っているのか。

と、鶏が先か卵が先かみたいなことを考える。

 

人の性格は脳から分泌されるホルモン(?)で出来ているという本を読んだことがある

が、それは、その人が出しているのか、出させられているのか、それを人工的に変えると

違う性格になってしまうという興味深いものだった。

 

 話が変わるが、この間“星占い”というか“ヒーリング”をしている人の所へ行った。

私は、占いでも縁起でも、そういったものに拘り縛られている人が好きでない。

 何かに依存して頼るということは、どーも胡散臭い危なっかしい気がする。

でも、科学だけでは割り切れないこともあると思っている。

 

 で、その頃気持が行き詰っていた私は、信頼を感じているその人の所に行った。

産まれた日時とその場所から自分の星と宇宙の星の位置から何かを割り出すらしい。

 結果、私は霊感があって先祖に守られ運が良く、研究心、探究心が強く、強い者と

戦う長いモノに巻かれない反骨精神、リーダーであり、自信と反省、人を集めながら

孤独の時を愛する、一人の時間が持てないとバランスを崩す。

愛と怒り、親愛と拒絶など相反する二つのものが同居している。と、

 これらは、私の部屋の中に月があったり首を切られた二つの頭を持つ蛇が居ること

などで分かることらしい。

 

 あー、当たっている。

四柱推命や手相でも同じようなことが出る。

 あー、そういえば誕生日大全にも全く同じことが書いてあったっけ。

 

 その時の私は、身も心も疲れ切っていた。

(でぇ? 当たったからって、どうしたらいいんだよ)という気持ちだった。

 そこに居る彼は、それに対する答えを言わなかったが、自分が疲れているという話を

延々として、占星術が当たっていて不思議だと言うと、

「だって、人は産まれる前に魂の約束をしているんですよ。

こういう風に産まれて、これを勉強したいって。

それは、お金持ちになりたいとか美人に産まれたいとかじゃなくて、この人の子として

産まれ自分の魂を磨きたいって親を選び、その性格も身体も選んで生まれてきたんです

から当たっているのは当然でしょ」

「へー、私はあの親を選んで、この身体とか性格、選んできたんですか?」

「そうですよぉ、今は忘れちゃってますけど、産まれる前に全て約束して自分で選んで

ここに居るんですよ」

「そーかぁー、私、あの親を選んで産まれてきたんですね」

「そうですよ。

だから、今、ここでこうして生きて、これから何をしたいかは魂が知っているハズなん

ですよ」

 

 何をしたいかといっても、それは前向きに何かを行うことだけではないのかもしれない

と、私は思った。

今ある状況の中でやらなければならないことが、やりたくなくてもやりたいことだった

のかもしれない。

 何故そんなにイライラしていたかというと、私は書き物がしたかったのだ。

でも、何時も何か用事が出来、常に仕事が忙しくなり、それをする時間がなかった。

それなら、出来るようになるまで待つかと思った。

そうしたら、何だか気持が落ち着いた。

これをやっていることは、自分の本意ではないと思って行うことは、自分で自分の首を

絞めることなのかもしれない。

 

 何故、ここに産まれて、何故、今これをしているのか。

分からないけど、ここに居てそれをしているという事実がある。

病気一つにも、色んな不具合にも、意味があるんだか何だかわからないけど付き合って

行こう、そうするしか道がないんだとしたら、どうせ逃げられないんだとしたら、

ジタバタしないで大切にやって行こうと覚悟を決めたら、何だか楽になった。

 

っていう、 つまらない話だけど、やっと書けた。

これ、秋雨前線が張りだして雷が鳴った日に書き始めたんだけど、今日も雨で寒いくらい。

 まだ昼間だけど、久しぶりに熱燗でも呑むかな。