雨漏り 床屋 つるっぱげ
父方の伯父の葬式で、母方のK叔父に会った。
無沙汰をしていて、会うのは久し振りだった。
K叔父は、ツルツル頭で元気そうだった。
K叔父とは、忘れっぽくて毎日弁当箱を忘れてきて、それをまとめて持ち帰ると叔母に
それを投げつけ、それをよけながら叔母が「お父ちゃん、アタシよけるの上手でしょ」
と言ったという話、ムカドンの“弁当箱”のKおじちゃんだ。
Kおじちゃんの娘である従妹が、我が家に遊びに来て、
「お父さん、肝臓がんで手術して今も治療中なのに、お酒は控えるようにって言われて
いるのに、隠れて呑んじゃってどうしようもなくて、最近なんか
『酒が呑めないくらいだったら死んだ方がマシだ!』なんて言って、堂々と呑むように
なっちゃったのよ」と、困った顔で言っていたことを思い出した。
告別式が始まる前、風が吹く白い建物の外で、
「伯父ちゃん、酒はあんまり呑んだらダメだよ」と私が言うと、
「はぁ」と伯父ちゃんは、聞こえない振り。
「「酒はダメだよ!」と大きな声で言うと、
「麻子、おめえ、まだ亭主に水ぶっ掛けてんのか?」と言う、
「はぁー?」何を言っているのか分からない。
「相変わらず亭主に水掛けて、やっつけてんのか?」
それで思い出した。
私たちが結婚したばかりの時だった。