安信

 安心して信じられる人になりたい。

そして、欲を言えば人にもそうなってもらいたい。

 腫れ物に触るように話し接しなければならない人がいる。

何を言っても逆手に取って捻(ひね)くれ怒ったり臍が曲がったり、落ち込んでしまった

り…。

 自己満足だけを目的に人を馬鹿にし、傷つけ、何事にも心を込めて行えない人がいる。

何を頼んでも本当にやるだろうかと心配な人がいる。

心を込めて行わないのではないかと託(たく)せない人がいる。

 

 真直ぐな人になりたい。

ありのままでウソのない、疑いを持たない、誠実な人になりたい。

この人なら大丈夫と安心して託すことの出来る人になりたい。

 

 グループで楽しそうな付き合いをしている人達がいた。

私はそういう仲間に入る気は全くないが、50歳の私より年長の彼女達は、しゃべり、

笑い、見るからに楽しそうであった。

 今日、その中の一人とばったり出会った。

その人が、私に向かって「更年期はないのか?」と聞いてきた。

「今が、更年期のまっ最中だ」と私が言うと、彼女の仲間の中の一人が更年期障害で

鬱になり入退院を繰り返して、今10kgも痩せてしまったのだという。

 私も4年前に、ずっと48kg位でいた体重が40kgを割ってしまったと話した。

「そういう時は食べられないのか?」と彼女が聞いてきたので、

「何も喉を通らなくなるのだ」と私は答えた。

 すると、その人はその更年期で鬱の彼女と、どう付き合ったらいいのか分からなくなっ

ているのだという。

どうしたのか聞くと、仲間のみんなが心配し、「頑張って」とか「大丈夫だよ」と励ます

とそれが、嫌で負担なのだと言われたという。

「私もそうだった」と言うと、「だから、何を話していいか分からない」と彼女は言った。

最近、その仲間達で食事会をしたのだという。

その時にその更年期の彼女も出てきたが、好物だった物がほんの少ししか食べることが

出来ずにいるのを元気な仲間が見て、

「何よ、それっぽっちしか食べないの。誰か食べてあげなさいよ」と言ったのだという。

それは、今までの付き合いからすれば当たり前のことで、何の疑いもなく出た言葉だっ

た。

 しかし、その後また入院した彼女が、その彼女に言ってきたのは

「あの時は、すごく嫌だったの。あたしの食べたくても食べられないものを、あたしが

言うならいいけど、勝手にあげてしまったのがどうしても許せないの」とそっと打ち明け

てきたのだという。

「それを聞いて、あたしも気が付かないうちに誰かを傷つけるようなことを言ちゃてるん

じゃないかって疑い出しちゃって、そしたら、その仲間と付き合うのが嫌になっちゃった

のよ」とそう言った彼女も心なしか前より痩せて見えた。

更年期障害のその人を、その人だけでなく、最近人間がみんな恐いのだと彼女は言った。

 

更年期障害で自ら命を絶った人の話を聞いた。

 

安信のある人になりたい。

骨太でどっしりとして、暖かくて、何を言っても大丈夫で、人に刃を向けない

ユーモアがあって、心配のない、

この人に任せたら安心で大丈夫だと信じることの出来る

annsinn.htm へのリンク

安心して信じられる、安信の人に私はなりたい。