避難計画の説明会

 

「この間、避難計画の説明会があったの知ってる?」と、小学生の子を持つマヤに聞いた。

「え、何で避難するの?」

「東海第二原発が再稼働するに当たって、過酷事故が起きた場合の避難計画の説明会が

あったでしょうよ」

「えっ、原発、再稼働するの?」

「うん、再稼働に向けて村は動き出してるよ」

「誰が、そんなこと勝手に決めてるのよ」

「誰って、ミンナが選んだ議員さんたちじゃないの?」

「だって、原発はもう止めたんじゃないの?」

「止めたとは聞いてないな、一時停止。じゃない?」

「えー、あんな危ないモノ動かさなくていいよぉ」

「そう言ったって、燃料発注してるって噂だよ」

「ミンナ、それ知ってるの?」

「んー、ミンナかどうか分からないけど、あたしは原発が再稼働するって聞いて

“第二原発再稼働反対”に署名してる」

「でも、私達はそんなの知らないよ」

「んー、そういう人、多いのかな」

「何時、避難の説明会をやるって知らせがあったの?」

「あまり分からないように、さりげなくお知らせが回ったんだね」

「何で、分からなかったら意味ないじゃない」

「説明会の意味は、説明してミンナの理解や避難の内容を説明することより、説明会を

しましたよ。っていう大義名分、後でやりましたけどー。って言う為にやるんだな」

「えー、そんなのやり方、キタナイ」

「キタナイったって、だから、そこでちゃんと自分で調べないと本当のことは分からない

し、自分で情報をキャッチしないと、知らないうちに大変なコトが勝手に決まって、

勝手に進んでた。ってことになるんだな」

「で、避難計画の話はどうだったの?」

「ん、先ずは、避難先は、筑波と取手」

「取手、って福島の事故ん時、東南の風かなんかで線量高かったんじゃない」

「そんなことあったね。

 あと、バスは300台、近隣で貸してくれるんだってさ。

でも、運転手は被爆が怖いからついて来ないんだってさ」

「じゃ、誰が運転するの?」

「さー」

「あと、日中は学校にバスが迎えに行って、子供は子供だけで避難するんだって」

「そんなぁ、子供も不安だけど、親も不安でどうしたらいいか分からないでしょうよ

すぐに子供の所に行きたいし一緒に居たいでしょうよ」

「重大事故が起きてるんだから、そんなこと言ってる場合じゃないんだよ。

ミンナが勝手な行動したら、道路だって渋滞しちゃって身動き取れなくなっちゃうでしょ」

「でも、子供と離れて別行動なんてヤダよー」

「ヤダって言ったって、そうなった時はそんなこと言ってられない状態になってるんだよ。

説明会でも『ペットはどうなるんですか?』って聞いた人が居たんだけど

オジサンが『ペットなんて言ってる場合じゃあんめ!』って怒鳴って

その人シュンってなっちゃったんだけど、そこに居た若い女の人が

『でも、ペットと言っても家族じゃないですか、福島でも色々問題になったけど、

ペットロスになる人もいたりして、私も犬が居るんですけど家族ですよね』ってやんわり

言ったら、オジサン大人しくなってそこに居た人も救われた感じになったんだけど、

説明だけでこんなに不安なんだよねぇ」

「オジサンも不安で怒鳴っちゃったのかな」

「その説明会さえも、あったことも分からなければ、聞いてもいない。っと」

「でも、うちの会社でもそういう話、原発とか避難とかの話って暗黙の裡にご法度なの

よね」

「だから、説明会とか講演会があっても知らないし、行かないんだよね」

「アタシは、そういう話聞きたい」

「えー、そう?」

「うん、でも、難しいと分からないのよね」

「だよねー、私も難しくて意味が分からないとムカムカしちゃう」

「えー、麻子さんでも?」

「うん、そーだよぉ。

私、過大評価されがちなんだけど理解するのが遅くて、本だって何回も何回も読まなきゃ

分かんないんだよ」

「でも、何回も読むからすごいよね」

「きっと、分からなくてスッキリしないのが嫌なんだよね」

「アタシもスッキリしたい。いろいろ知りたい」

「私の知ってることで良かったら教える?」

「うんうん、教えて」

「分かった、私の知識は偏っているかもしれないけど、いい?」

「いい、いい」

     と、いうことになったので、ここに書きま〜す。

 

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