鯉のぼり

 

久し振りに寝過ごして 火照った身体

開け放した窓から もうすぐ五月の風が流れ込む

眼前に広がる 形を整えない田んぼ

次々と掘り 均(なら)され 水を入れる時を待つ

 

遠く林に繋がる畑に 働き者の夫婦が腰をかがめる

鯉のぼりが太って 風に立つ

昨年生まれた二番目の男孫 ショウキ様の旗が角場で睨む

二三日前 今年初めてのツバメを見た

山鳩夫婦の声がする

ヒバリが空にとまり 歓喜の声をあげている

 

山は老人の肌から フワフワの子供の色に変わっている

土は柔らかく香り

水を含めば生命(いのち)を孕(はら)む

 

草を引き 石を拾い 水をかける

蒔(ま)き続けてきた種が 芽を出している

恵みは すべてに与えられる

 

 

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