縄と矛盾
天才とは、天国と地獄を知る者。だと聞いた。
また、子供の心を失わずに大人になる者のこと。でもあるらしい。
最近、嬉しい事と、辛い事があった。
さて、どっちからお話しよう。
辛い事の方か。
私は、誰かれなく?話す、喋る。
しゃべりたいんやー。
つっても、一応喋るべきか、喋らんべきかは、考えてるし勘で、今話していいか相手が
どういう時期状況に居るかは、計っている。つもりだ。
それが、ある母親が激怒する状況が最近起きた。
「初めて会った何も分からない人に、そんなこと言われる筋合いはないです。
もう、二度とここには来ません」と、その人は言った。
話す(講演、挨拶、お喋り)時、必ず言うようにしていることがある。
「無明とは、何も知らないことでなく、何でも分かったつもりになっている心の事。だ
そうです。つまり、私は無明です。でも、敢て言いたいので喋ります」
これは、先に言い訳をする卑怯な手口かもしれないが、本当にそうなのだから仕方がない。
そして、私がしてきたことの矛盾をずっと感じている。
これは、その場(講演)で話すと長くなりそれだけで終わってしまうのでここで話す
ことにする。
あー、ここがあって良かった。
その矛盾とは、
<無明とは、何も知らないことでなく、何でも分かったつもりになっている心のこと>と
話しながら、自分が無明であるという事実と、それを忘れているという事実の矛盾。
<怒らないで教える>を言いながら、自分は出来ていない。
子供に恥をかかせるタメに教えるのではない。
子供がまだ分からないでいることは、怒らず教える。
ボキャブラリー、語彙(ごい)の貧困によって、叱る、教える、諌(いさ)める、
注意する、指導する、促す、から鼓舞(こぶ)喚起(かんき)まで怒られた。と言うよ
うに最近はなっている。
怒るという感情で支配された行為でなく、叱るも教えるも、理性の支配下にある。
怒らないで教える。ということを、親(主に母親)に伝えてきた私だが、子供の指導には
出ない感情が、親になると出ることがある。(いつもじゃないよ、という言い訳させて)
私は、人に言ってる怒らないで教える、感情的にならずに伝える。が、出来ていない。
それで起きた、母親激怒事件だったのだと思う。
<知らない者は、それを知る義務と権利があり、
知る者はそれを伝える義務と権利を持つ>
と、同時に知らない者は分からない所から、
<自分で分かる権利を持つ>この二つをどう両立させるかという矛盾。
自分で知りたい、分かろうとしていることを横から教えることは、映画を観ている人に
結末を言うようなもの。推理小説を読んでいる人に犯人を教えるようなものだ。
分からない時、ワクワクする。手探りで解いている時の好奇心と期待感は、何物にも
変えがたい喜びだ。
その横からの口出しを、私はその親にしたのか?
答えを横から言われ続けていると、子供は無気力になる。
<子供が無気力になる時>
「これ、やってみる?」と、子供に聞くと、すかさず
「やってみなさい」或いは「やらなくていいわよね」と口を出す大人(親)が居る。
やるか、やらないかは、聞かれた子供が決める。
そこに居る大人は、黙って待って欲しい。つーか、黙って待て。と、私は思う。
その横やりに終始して生きてきた子供は、話し掛けても目が合わない、返事しない。
「こんにちわ」と言うと、挨拶した人の顔でなく親の顔を見る。
或いは
「ここで遊べるよ、一緒に遊ぼう」と声を掛けると横に居た親が、
「この子は、ダメなんです」と言う。何が?と思う。
「内気で何も出来ないんです」と言う。
「ちょっと、様子をみてみようよ」とちょっとした働きかけをして放っておくと、遊び
出す。
すると、「いつもこんなことないんです」と親は言い訳のように言う。
この子はダメなんです、出来ないんです。という決めつけの中に置かれた子供は、
自分はそう(ダメ、出来ない)んだと、自分を自ら縛り始める。
自縄自縛(自らの縄で自らを縛る)が始まり、無い縄を心に作り自らを縛る。無縄自縛。
そういう人が大人になる。
そして、自らを縛った縄は、他の人も縛ろうとし始める。
こうでなくてはならない。こういうことをしてはならない。と。
ここでまた自分を思う、考える。
私も自分で作った縄(知る権利と義務、伝える権利と義務)で、自分を人を縛ろうとして
いるのだろうか?
でーもなぁ、開き直る訳じゃないけど、私はこれで行くしかないな。
口出しがクセになって、子供のやることに口を出し手を出す人に、一度こういう考えも
ある。と、伝えたい。
他人を自由にするのは、自分を自由にすること。と同時に進んで行くんじゃないかな。
あの激怒母親とは、ちゃんと話が出来なかった。
話っていうのは、ちゃんとしないと違う話になってしまう。
ちゃんと話が出来ない時は、話さない方がいいんだね。残念だけど。
次回は、嬉しい話にしようっと。