年末お笑い

 

 以前ケーキ屋で働いていたチカちゃん。

お客が「モランボン下さい」と言うのを聞いて、黙ってモンブランを渡したが、

(あんたは、ケーキ屋に焼き肉食いに来たのかー)と心の中で突っ込んでいたという。

その彼女が、今は大手電気量販店で働いている。

 

エコポイントが満額出るのは11月までとかで、先月は電化製品を掛け込みで買うお客

でごった返したらしい。

「もー、忙しかったんだからー。

みんな気が狂ったみたいに電化製品買いまくって、で、地デジはチジデ。でしょ」

「なになに!チデジが、チジデ?!」と思わずウヒョ目になるワシ。

「アナログはアナグロ」

「いいのけぇー、そんな怪しいこと言って」

「ワウワウはウォウウォウって言うし」

 そこでこらえ切れず笑い出した。

「『ウォウウォウ』ってクマが因縁つけてんじゃねぇんだから、それ聞いて、あんた笑わ

ないで居られたの?」

「最初は『アナグロがぁ』って言われたら『はぁ?』って思ったけど

もう、一々聞きなおしていたら仕事にならないからね。

でも、『はい、アナログですね』って言っても『うん、アナグロがぁ』って年寄りは耳の

回線がショートしてんだね」

 チカちゃん、話の切り口は鋭いが責任感が強く年寄りや子供に親切であることを言って

おく。

「スカパーは、スパカーでしょ。

あー、スカイパーって人もいたなぁ」

というの聞いて、

「調味料のウェイパーを毎回ウィスパーと言う人がいるんだ。

って自分なんだけど」

と言うと

「いたいた、ウィスパーって言ってた人」

「もー、何でもありだね。つうか、電気屋に生理用品買いに来るなっつう話だよね」

「もう使いそうもない人だって」

「まぁ、ワシも調味料ウィスパーって言っちゃってるからね」

「ダメだね」

 

 年末は慌ただしい。

韓国料理でマッコリを頼もうとして「もっこりイッチョウ!」と叫んだ話は、身内が

言ったという話も含めて多数聞いている。

 今、病院に入っている義母は糖尿の持病があるのだが、どうしてもトウニョウを

トウニュウと言うんだけど。

トウニュウは飲めても、トウニョウは飲めませんから〜。

 

忙中閑ありの12月27日、今日は久しぶりに山小屋の机に一日座っていた。

4時、昨日作ったニンニクたっぷりのラタトゥーユを肴に赤ワインを呑み始めた。

 若い頃、沈む夕日を目に残像が残る程見た。

最近は夕日に背を向け、日に照らされたモノを眺めるようになった。

 年寄り二人が住んでいるキレイに片づけられた家の白壁が、オレンジに光る。

そこのジイサン、笑うとカワイイのに小うるさい。

 バアサンは、自慢しいだが頑張りや。

どの家にも違った暮らしがあり、違った家庭が築かれている。

 どの家も。

夕日が赤く染めている。

 

 あっ、大変。

犬どもの散歩の時間じゃ。

 散歩させたら風呂にでも入るか。

 

 

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