落ち込み

 私は、殆どの時を、何の疑いもなく面白がって生きている。

それが、突然、ガビーンとなることがある。

 最近、そのガビーンとなることが続いた。

 

今日は、知人が金魚の幼魚を呉れるということで貰いに行った。

そこの家ではチワワの子供が産まれたばかりで、昨日はそのフワフワのクニャクニャの

赤ん坊を見せてもらいに行ったばかりだった。

 今日もそのチワワのムニュムニュを見られるんだと思うと、胸が高まった。

それに加えて、金魚の稚魚が貰えるという期待に我を忘れた。

 そこのお宅に入るにあたって、ロクな挨拶もせずワンコの所に直行し、そこの近くに

そこのお母さんが居たのだが、無視をしてしまった。

 そのお母さんは寝たきり状態の人で、若しかしたら挨拶しても通じなかったかもしれな

い。

 でも、挨拶すべきだった。

それに気付いたのは、家に帰って金魚の稚魚を山小屋に置いて見入っていた時だった。

 あー、私って自分の興味関心のこと以外には、全く心が行かないんだ。と、その瞬間

に気が付いた。

考えてみると、そこの家に居た知人のお兄さんにも挨拶しなかったし、犬だけしか見

ていなかった。

 

 最近、私の店で買い物をして交換をしてくれという人が居て、

「私の店では、交換返品はお断りをしている」ということを伝えると、

「クーリングオフということを知らないのか!」とその人は憤った。

クーリングオフは、通販などで、商品を直接見ないで買った場合か、商品に欠陥があった

場合にのみ適応される制度である旨を伝えると

「じゃ、この店ではよーく考えて買わなきゃいけないですね!」と眦(まなじり)を上

げて言うのを聞いて、

(それは、この店だけじゃなくて、何処でもよーく考えてから買うべきであろう)と思

った。

 その人は、今回だけだからと商品を交換していった。

私は、その人を軽蔑した。

 

 突然やってきて、2時間喋り続けた人が居た。(自分の事と、営業だけ)

私は、頭が痛くなってきて声がかすれてきた。

 帰り際に「声がおかしいけど大丈夫?」とその人は聞いてきた。

「最近陽気が変だから、ちょっと風邪気味なのかも」と言うと、

「あたしも、喉の調子がおかしくて病院に通っているの」と、その人が言った。

その瞬間、「喋りすぎだよ」と、私は言っていた。

ゲゲっと気が付き「私がだよ」と言ったが、冷や汗が出た。

 以前の“危険人物、私”でも書いたが、何を言い出すのか、自分が怖い。

 

 嫌だなと思うのが、自分の損得だけで生きているような人。自分勝手な人。

周りの状況が見えない人。我を忘れている人。常識のない人。

 ところが、その最たる人間が自分だと気づく瞬間がある。

そして、ガビーンとなるのだ。

         あーあ。

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