桜 舞

 

花の向こうに花が見える

花のベールに包まれた 花のブーケ

新緑の山に花のレースがかかる

柔らかな土に 淡く白いジュータン

 

木漏れ日を受けて 見上げる空

きらきらと降り注ぐ 花びら

顔に 首に 胸に 開いた腕の そこかしこ

ほどけた唇に

惜しげなく与えられる 花の接吻

 

恍惚の耳元に

あなた様が 喜ぶなら ご所望とあらば

いつでもはせ参じますと 囁きし者あり

 

駄目 待たせて欲しいの

待って 待って 待って

焦れて 時が満ちて

抑えきれずに膨らみ 綻んだ花が

舞い始める時迄

 

解き離された花は 溢れ出し

空を覆い 乱れ飛ぶ

春風は地から空に流れる

渦を巻いて 一直線に

 

もう 後戻りは出来ない

狂気と 乱舞の世界から

光の中へ

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