次女の婚姻

 

 2009年5月18日、月曜日(晴天)

夏になったかのような日差しに下で、メダカが卵をバンバン産んでいた。

 もう卵から産まれている稚魚や、採った卵を集めている幾つもの容器を眺めていると

最近婚姻したばかりの次女が来た。

 長女は、人前に出るのが嫌な旦那に合わせてか結婚式を挙げなかった。

次女は、結婚式を挙げるのが夢だったハズだが、本当に気持ちの通じ合う人と出逢って

式はどうでもよくなったみたいだ。

 

「役所に手続きすることがあって今から行くんだけど、一緒に行く?」

「うん、じゃぁ、一緒にお昼でも食べよう」

 

 私たちは、2月に知り合って3月に結納で5月8日に結婚式を挙げている。

何といったらいいのか、私は縁が結ばれている人に会うと何かを感じる。

 今これを読んでいる人たちに出会った時も、このホームページを教えた時もそれを

感じてきた。

 幾ら長い知り合いでも、教えない人には教えない。何かが違うのだ。

 

 その何かというのは、どう言ったらいいのか(あー、そうですかー)という感じ。

 

長女の時は、「今日、友達が誕生日で携帯電話でハッピバスディの音楽を作るんだ」と

娘が言うのを聞いた瞬間

「そいつがあんたの結婚する相手だよ、今晩そいつを落としてこい!」と言っていた。

 その時の二人は、ホントウにただの友達で他の友達も来るはずだったのが、都合が

悪くなって二人だけでの誕生会となった。

私は、その息子が自分の子供のような気がする。

間もなく娘のアパートで一緒に暮らし始め、長女の婚姻で書いたように

空き家になっていた私の実家に住むことになり、籍を入れた。

 

 今年の3月29日(日)次女と初めて会いに彼が我が家に来ることになっていた。

しかし、午前中来るといっていたのに幾ら待っても来ない。

 これは縁がなかったのかと思ったが、催促の電話をすると場所を間違って行き着けず

自宅に戻ってしまったという。

「今からでも来る気はあるの?」と私が言うと

「はい」と彼は暗くなる頃にやって来た。

 二人を見た瞬間、「これで決まりだな」と私は思った。

次女は、私の実家に住んでいた。そう、長女夫婦が住んでいたあの家だ。

「もう、あの家で一緒に暮らしちゃえ」と私は二人に言った。

「えー?」と二人は言っていたが、それはすぐにホントウになった。

4月18日に結納を交わし、26日に籍を入れた。

知り合って1ヶ月もしない間に意気投合のラブラブ関係。

 私の時も長女の時も次女の時も同じ、「そうなるもんは、そうなる。

そして、総ての縁は、それから一緒に努力して良縁にしていくんだ」と思う。

 

 5月18日は、結納から一ヶ月目だった。

次女の運転する車で役所に行った。

 長女の時(2006年6月23日)は、小雨の間から日が差してきたのを覚えているが、

その日は、晴天、車の中で待っていると、真夏のような太陽と風を感じた。

 シルバー人材の人たちが草引きをしている。

昼時で、ちり紙交換の軽トラが駐車して弁当を食べ始めた。

娘が掛けていったCDの音楽にボンヤリする。

のどかだなぁ、何だか気持ちが解けていく感じだ。

と、何処からか犬が現れた。首輪に鎖を付けたまま、それを引きずって歩いている。

シェットランドシープドックと見た。

昔“名犬ラッシー”というアメリカのドラマがあったが、それの小型版のような犬。

フラフラ歩いていたが、軽トラの横に座りこんだ。弁当を欲しがっているが無視されて

いる。

 役所の駐車所はユックリだが、車が行きかっている。

その犬の行動から、老犬でドンクサイ犬と見た。車を恐がらないので逆に危ない。

 私は犬の所へ行った。鎖を手に取ったが、犬に警戒心はない。首輪に名前はなかった。

皮に塗られた黄色い色がひび割れた使い古された首輪だった。厚い毛が硬い。

 昼食で外出していた役所の人たちが、次々と戻ってきていた。

「この犬迷子みたいなんですけど、何とかしてもらえませんか?」と優しそうな感じの

年配の職員に声を掛けると、昔の知り合いだった。

 その彼の家に行ったことがあった。お母さんも優しい人だった。

「わかったよ、何とかするから心配しないで」という彼の声に、彼のお母さんが

「気ぃつけて、お静かにかえりなせぃよ」とナマリながら上品に言ったことを思い出した。

あれから30年以上が経った。

 

 戻ってきた娘が、

「待たせて悪いね」と言った。

「あんた、お母さんが待つの得意だって知らないの?」

「知ってるよ」

「ココまで来るのに、どれだけ待ったか」

「ありがと」

 一口では語れないいろんなことがあった。

でも、今、良かった。

 

 それから、海の見えるレストランで食事をして、義母の病院に寄り、娘の家に行って

犬と遊んで帰った。

 実家は、きれい好きな娘の好みですっかりステキになっていた。

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